読書

【ネタバレなし】ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ レビュー

「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち」は、

  •  大ベストセラーシリーズ 「ビブリア古書堂の事件手帖」第8作品
  •  作者は、三上延さん
  •  シーズン2としては、第1巻目



最近では、ドラマ化や映画化もされた大人気のミステリーシリーズです。



注意点を先に。

Q1. シーズン2ですが、シーズン1から読んだ方がいいの?

A. 作中で、前の話のネタバレが多い。

ビブリアシリーズを本格的に楽しみたい方は、シーズン1から読むことを強くおススメします。



Q2. 「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち」はシーズン1の第1巻?

シーズン1(栞子編)の第1巻は、「ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち」。

よく似たタイトルなので、手に取られる方はお気を付けください。

表紙はこんな感じです。



この記事でわかること

  •  【ネタバレなし】あらすじ 第1話(冒頭)
  •  よい点
  •  悪い点



この記事を書いたひと

  • ビブリア古書堂の事件手帖 全巻読んだ
  • ビブリアファン
  • 小説好き

まだビブリアシリーズを読んだことがない方に、その魅力が伝われば幸いです。



「ビブリア古書堂の事件手帖とは」

※ すでにご存じの方は読み飛ばしてください。



簡単な説明です。

  •  ビブリア古書堂店主 篠川栞子とアルバイト定員 五浦大輔のコンビが活躍
  •  北鎌倉が舞台
  •  古書を巡る、様々な事件を解決する短編ミステリー



ビブリアの魅力

  •  古書にまつわるエピソード
  •  古書に込められた人の絆と秘密の物語
  •  普段は人見知り、本のことになると人が変わる「栞子」など、魅力的な登場人物



100秒で「ビブリア古書堂の事件手帖」がわかる動画を見つけました!

※ 音がでます

引用 『ビブリア古書堂の事件手帖』公式サイト 人物

人物相関図をご覧いただくように、人間関係が分かりやすいです。



さらに詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ

ビブリア古書堂公式ホームページ




【ネタバレなし】あらすじ

多くの方がご興味をもってほしいので、ネタバレなしのあらすじ(冒頭)をご用意しました。

以下の「あらすじ」をご覧いただき、

続きが気になる!

と思っていただければうれしいです。




引用 『ビブリア古書堂の事件手帖』公式サイト 

驚異のミリオンセラー古書ミステリ 待望の新シリーズスタート!


ある夫婦が営む古書店がある。

鎌倉の片隅にひっそりと佇む「ビブリア古書堂」。


その店主は古本屋のイメージに合わない、きれいな女性だ。

そしてその傍らには、女店主にそっくりな少女の姿があった。


女店主は少女へ、静かに語り聞かせる。

一冊の古書から紐解かれる不思議な客人たちの話を。

古い本に詰まっている、絆と秘密の物語を。


人から人へと受け継がれる本の記憶。


その扉が今再び開かれる。




第一話 北原白秋 与田準一編 『からたちの花 北原白秋童謡集』(新潮文庫)

弟の出産祝いと一緒に、一冊の本を届けてほしい

「北鎌倉」駅に降り立った 平尾由紀子は、40代三児の母。

子育てと仕事に追われる忙しい毎日を過ごしている。



そんな由紀子が、鎌倉を訪れたのは、ある人物に会うためだ。

「坂口 昌志」

由紀子の叔父であり、30年近く平尾家とは絶縁している人物である。



きっかけは、父の入院だった

「兄さんのお見舞いに行ってもかまいませんか?」

どこかから聞きつけたのか、兄の入院を知った昌志からの突然の電話だった。



由紀子の父 平尾和晴と叔父 坂口昌志は、8才離れた「異母兄弟」である。

祖父との折り合いが悪かった後妻は、しばらくして昌志を連れて家を出る。

以後、後妻と昌志は消息不明となった。



そんな昌志の名前を和晴が聞いたのは、15年後のことだった。

和晴は20代後半、教師となっていた。

昌志は、自暴自棄のあげく、銀行を襲って逮捕されたのだ。



「夫が最後まで教頭になれなかったのは、この事件のせいだと思うわ」

そう考えていた由紀子の母は、昌志を嫌っていた。



出産祝い

結局、和晴と昌志の対面は、周囲の反対もあり実現しなかった。



しばらくして、昌志から見舞いの品が届く。

「返礼は不要」というメッセージと共に。



見舞いの品を受け取った和晴は、昌志に出産祝いを届けたいと言い出した。



昌志は、60才になっている。

由紀子と年も変わらない、20歳も年下の女性と結婚。

最近になって、子供ができたという。



「気色悪い」由紀子の正直な感想だった。



60を超えた叔父、由紀子と年が近い女性。そんな2人が子供を作る。

ぞっとするほど生臭い話で、とても祝福する気にならなかったのである。



奇妙なお願い

とにかく、父の希望通りにお金を包む由紀子。



もう一つ奇妙なことも、父から頼まれた。

「出産祝いと一緒に1冊の本を届けてほしい」

北原白秋の『からたちの花』という童謡集だった。



ネットで検索してみると、在庫を持つ店はすぐ見つかった。

その中で、由紀子が選んだのは、北鎌倉の古本屋「ビブリア古書堂」

当日、古本屋で本を受け取ってから、昌志の家に行く予定にしたからである。



なぜ「からたちの花」を贈るのか?

それには、どんな意味があるのか?



さまざまな疑問を胸に、由紀子はビブリア古書堂の前に立つ。



感想

よい点

  • 手に取りやすいこと
  • 軸がぶれないこと
  • 扉子の存在

悪い点

  • 強烈に心に残るほどではない
  • シリーズを1から読んだ方がいいこと



よい点

手に取りやすいこと

ライトノベルということもあり、気軽に読めます。

  •  全体の分量が少ないうえに、短編集(本作は4作品)
  •  本格ミステリーのような小難しさがない
  •  作者三上さんの文章は、読みやすい



サクサク読み進めることができ、私は、2日で読み終えてしまいました。

三上さんの文章は、難解な表現もなく、ストレートで読みやすい。

短編ということもあり、1話1話が短く、話も変わるため、飽きずに読むことができます。



分量、内容、読みやすい文章のおかげで、 気軽に手に取ることができることが魅力。

普段あまり本を読まないという方こそ、ぜひ楽しんでいただきたい作品です。



軸がブレないこと

安定感がある

前シリーズ含め本作は8作目ということもあり、「安定感」が素晴らしい。

7作目まで積み上げた「安定感」と共に、「正統進化」も感じます。

長年のファンの期待を裏切らない、「こういうの、待ってました!」に見事に答えている出来の良さです。



「正統進化」だと感じるのは、以下の3点。

  •  ファンがついてこられないような新しい(ビックリ)設定がない
  •  多くのファンが望んでいる形でのシーズン2
  •  前シリーズで積み上げてきたよいところを生かす



心地いいビブリアの世界

「古書」×「鎌倉」ということもあり、シリーズ全体ゆったりとした時間が流れています。

このゆるやかな時間が奏でる独特な世界観は、とても心地よい。

本作も、こうした世界観を壊すことなく生かされています。

湖はでてこないですが、こんなイメージ(私だけかも?)



1作目から、栞子と大輔の微笑ましい恋の行方を見てきました。

なんだか自分自身が、ビブリア古書堂のなじみ客になった錯覚すら覚えます。



本作を読みながら、何度か、

「ビブリア古書堂に帰ってきたなぁ・・・」

と久しぶりの帰省したような気持ちになりました。



扉子の存在

娘 扉子の存在は、ビブリアシリーズをさらに奥深いものにすることに成功しています。

  •  「母が娘に本の物語を語りかけること」は、読者までほっこりしてくる
  •  メリハリが生まれた
  •  ビブリアシリーズの主要テーマを改めて感じさせる



「母が娘に本の物語を語りかけること」は、読者までほっこりしてくる

娘の存在自体が、7年という時の流れをいやがうえにも感じさせます。

「母親、娘に優しく語りかける」その姿を頭の中で思い浮かべるだけで、微笑ましい。

本書の表紙絵は、まさにイメージどうり



メリハリが生まれた

物語の冒頭

母と娘のやりとりから始める。

「話を聞かせて」

と 扉子が本を片手に、母栞子にねだる。


終わり

再び栞子と扉子のシーンに戻って、2人のやりとりで終わっていく



「導入-本筋-まとめ」の型にカチッとはまっています。

読みやすいし、理解もしやすくなりますよね。



ビブリアシリーズの主要テーマを改めて感じさせる

古い本に詰まっている、絆と秘密の物語

人から人へと受け継がれる本の記憶

物語がおもしろくて、忘れがちですが、主要テーマです。

千恵子(栞子の母)-栞子-扉子(栞子の娘)とちゃんと受け継がれていく姿が描かれています。

この先、どんな話が扉子に受け継がれていくのか楽しみなシーズン2です。



悪い点

強烈に心に残るほどではない

小説をよく読みますが、小説には2種類あると考えます。

  •  話の内容をずっと覚えている作品
  •  1週間もすれば、話の内容を忘れてしまう作品

残念ならが、本作は後者。

本作は、非常におもしろいです。

しかし、読んで深く心に残るとか、人生が変わるほどのインパクトはありません。


ビブリアシリーズの作風として、

「古書のエピソード」を絡めながら、「人の物語」を描く

相当な制約のもとで書いていらっしゃいますから致し方ないところもあります。



良くも悪くも、「手に取りやすく」「読みやすい」ライトノベルです。



シリーズを1から読んだほうがいいこと

読んでいると・・・

作中で、久しぶりに登場する人物紹介時に軽くネタバレします。

久しぶりの登場人物が出てくると、あの事件の時・・・と紹介される形。

シリーズを通して読んでいる読者にとっては、ありがたい配慮です。

えっと、誰だっけ・・・

あ~、はいはい。あの時の人か!



シリーズ1から読むことをおススメ

本作を読んでから、シリーズ1から読もうとすると弊害があります。

短編形式なので、本作から楽しく読めなくはありません。

しかし、続編物のを途中から読んでしまうことになり、魅力が半減します。



結末の分かっているミステリーを、読むことはやはりつらい。

シリーズ1から順々に読んでいただくことをおススメします。



まとめ:シリーズの良さはそのままに、ファンの期待を裏切らない『正当進化』

新たにシーズン2に突入した本作。

シリーズのよさを生かしつつ、新たなキャラクター『扉子』も登場。

今後も期待したくなる作品です。



「ビブリアシリーズ」の魅力を堪能するために、ぜひシーズン1から手に取ってみてください。



よい点

  • 手に取りやすいこと
  • 軸がぶれないこと
  • 扉子の存在

悪い点

  • 強烈に心に残るほどではない
  • シリーズを1から読んだ方がいいこと






まずは、シリーズ1、第1作から読むことがおススメです

公式ホームページには、お試しで第1巻の第1話が読めます。(けっこう長いです)

ぜひ、こちらからお試しください。

おもしろそうだなぁと思ってから、購入をご検討ください。

第1巻第1話がまるごと読める

前シリーズ7冊分が合わさった合本もあります。



本作の続編もレビューさせていただきました。

ご興味があれば、どうぞ。

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