バフェットの法則

【要約】バフェットの法則 第3章 12の原則で事業を買う

バフェット投資術を学べる本ってないかな?


この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。

内容は、「第3章 12の原則で事業を買う」を要約した記事となります。

バフェットが長年にわたって、磨き上げてきた投資術を、シンプルなチェックリストに、うまく落とし込んでいる章です。


出典 Wikipedia 「ウォーレン・バフェット」 より

この記事で分かること

  • バフェットが投資する際の判断基準
  • 投資をする際のバフェットが考えていること


この記事の信頼性

  • 「バフェットの法則」という本を丁寧に要約
  • 筆者 ロバート・G・ハグストロームさんは、長年のバフェット研究家
  • ロバートさん自身、バフェット投資術を使ったファンドを運用 

筆者の言葉を、大切に丁寧な要約を心がけました。


この記事を書いた人

  • 株式投資歴10年。バフェット本読書歴9年。
  • 大損してバフェット投資術に出会う
  • バフェット投資術実践中



この記事を読むメリット

  • バフェットによる、投資判断の12のチェックリストの解説
  • 株を買う前のチェックリストとして使える
  • 要約を読むので、時短


本記事をご覧いただき、投資手法として取り入れてみてください。



第3章 12の原則で事業を買う

バフェット投資術の全貌と言ってもいいほどの内容でありながら、コンパクトにまとまっています。


バフェットは、12原則で投資をしている。

事業に関する3原則

1. シンプルで理解できる事業か

2. 安定した事業実績があるかどうか

3. 長期的に明るい見通しがあるか

経営に関する3原則

4. 経営者は合理的か

5. 株主に率直に話せる経営者か

6. 組織の習性に屈しない経営者か

財務に関する4原則

7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

8. 「オーナー利益」を考えているか

9. 利益率の高い企業を探しているか

10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

市場に関する2原則

11. 事業の価値はどれくらいか

12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か


事業に関する3原則

事業に関する3原則

1. シンプルで理解できる事業か

2. 安定した事業実績があるかどうか

3. 長期的に明るい見通しがあるか


1. シンプルで理解できる事業か

投資家が自分の投資内容をどれだけ理解しているかで、成功するかどうかが決まるとバフェットは考える。


バフェットは、自身が経営するバークシャーが所有するすべての企業を深く理解している。

売上高、費用、キャッシュフローなど、バークシャーが所有する企業のあらゆる面を理解している。

バフェットが深く理解できている理由がある。

自分の理解できる範囲で、意図的に「絞り込んでいる」からである。


バフェットは、「どれだけ知っているか」より、自分が「どれだけ知らないか」をはっきりさせることが重要だと言う。

バフェットのアドバイスは次の通り。

自分の能力の範囲で投資しなさい。

その範囲が大きいかどうかは問題ではない。

境界をどれだけはっきりと引けるかが重要だ


2. 安定した事業実績があるかどうか

事業内容が難しいもの、難しい課題を抱えた企業には、バフェットは投資をしない。

事業を大きく変えようとしている企業も、投資対象から外す。


理由は、以下の2点。

  • 長年、同じ商品やサービスを提供する企業に投資した方が、良い結果を生むから
  • 大きな事業転換は、ビジネス上の間違いを犯しやすいから


多くの投資家は、「大きな事業転換」に期待を寄せ、ひきつけられる。


バフェットのアドバイスは次の通り。

将来生まれるかもしれないことに夢中になって、目の前の現実を忘れてはいけない


バフェットは、市場で脚光を浴びている企業には興味を示さない。

バフェットが興味を示すのは、「長期的に成功すると自分で確信した企業」だけである。


3. 長期的に明るい見通しがあるか

ここでいう「長期の明るい見通し」とは、優れた企業の持つ優位性がいかに長く維持できるかという例えです。


バフェットは、企業を大きく2つに分類してる。

  • 非常に優れた『少数』の企業
  • 大多数』を占める買う価値のない企業


また、非常に優れた企業の特徴を、3つ挙げている。

  • 社会で必要とされ、望まれる企業であること
  • 代わりになるものを、簡単には見つけられないこと
  • 政府の規制のない分野の企業であること


非常に優れた少数の企業は、他社とは明確に異なり、簡単には参入を許さない優位性をつくりだしている。

バフェットは、その優位性を「堀」と表現している。

「堀」は大きければ大きいほど、他社に対しての競争力は強固になる。


バフェットの言葉を借りよう。

  • 投資のポイントは、企業の「比較優位性」を判定することにある
  • 企業の優位性をどれだけ維持できるかが、特に重要である
  • 私が重視するのは、「堀」(企業の優位性)がどれだけ大きいかである


逆に、ダメな企業の製品は、競争相手の製品と区別ができない(差別化ができていない)

他と区別できないような「汎用品」では、結局価格競争でしか差別化できない。

価格競争が激しくなればなるほど、「利益率」が下がる。


経営に関する3原則

経営に関する3原則

4. 経営者は合理的か

5. 株主に率直に話せる経営者か

6. 組織の習性に屈しない経営者か


4. 経営者は合理的か

経営者の最も重要な意思決定は、資本の配分である。

資本の配分とは、儲かった利益をどこに配分するか。

  • 事業へ再投資
  • 株主への還元

のどちらかだ。


事業への再投資では、投資リターンが低く余剰資金がある企業を、バフェットは特に注目している。

なぜなら、資金をどのように使うか見ることで、「合理的」か、「合理的ではない」かの経営者の判断が、分かるからだ。


バフェットは、平均以上の利益率を上げる事業に余剰資金を再投資できないのなら、株主に還元するべきだと考える。

株主への還元には、2つある。

  • 配当金として株主に払う
  • 企業が、自分の会社の株式を買い戻すこと


配当を受け取った株主は、お金をより高い利益率の事業へ投資をすることができる。


自分の会社の株を買い戻すことには、2つのメリットがあるとバフェットは言う。

  • 企業の持つ本質的価値より安い株価で買い戻すことで意味がある
  • 「株主への利益を考えている会社だ」と株主にアピールし、投資家をひきつけることができる


たとえば、「株価50ドル、本質的価値100ドル」の株があるとしよう。

これで株を買うと、50ドルを払い、100ドルの価値あるものを買うことになる。

そのまま、株を持ち続ける株主には、大変よい取引となる。


「株主の利益」を考える企業としてアピールすることで、投資家を集めることができる。

投資家の興味を引くことで、注目を得る。

注目されれば、自然と株価上昇の可能性が高くなるからだ。


5. 株主に率直に話せる経営者か

バフェットが高く評価するのは、企業の財務状況をもれなく報告し、成功だけでなく失敗も明らかにする経営者だ。

特に、経営者が失敗したときに、それをオープンに話せることを高く評価する。


バフェット自身も、株主への報告書には、失敗を包み隠さず報告している。


率直になることは、株主だけでなく経営者自身にもメリットがある。


バフェットの言葉を借りよう。

公の場であざむく経営者は、いつの間にか自分自身をあざむくことになりかねない


6. 組織の習性に屈しない経営者か

「組織の習性」とは、他人の行動がどんなにバカげていて合理的でなくても、それをマネしてしまう習性のこと。

「組織の習性」にとらわれると、企業は必ず失敗する。


組織の習性が原因で引き起こす深刻な事態は以下の4つ。

  • 組織が従来の路線を変えようとしない
  • 使わなくていい場面でも、余剰資金を使うためにプロジェクトや買収計画を生み出す
  • リーダーがほれ込んだ事業は、どんなにバカげたものでも部下が支持する
  • 同業他社の行動を何でも無批判にマネをする


多くの企業がおちいってしまう「組織の習性」は、人間の本性から生まれる。

そのため、従来と異なる意思決定や方向転換することは容易ではない。

だからこそ、「組織の習性」に抵抗する経営者をバフェットは評価するのだ。


組織の習性がもつ3つの問題。

  • 経営者が、大きな変換の必要性を理解しても動けない。目の前の問題を直視せず、企業買収の誘惑に勝てない
  • 資本配分がうまくできないから、他人に相談する。その結果、組織の習性におちいる
  • 同業他社がやっているからと、同じようにすることが正しいと思い込む愚かな模倣


【組織の習性がもつ1つ目の問題】組織の習性にとらわれた経営者は、大きな変換の必要性を理解しても動かないことが多いこと

本当に動く必要があるときに、動けない。


一方で、「動く」ほうでも問題がある。

経営者の行動に、最も大きな影響を与える3つの要因

  • 多くの経営者は何か行動したいという願いを抑えきれない。その欲求のはけ口を「企業買収」に見出すことが多い
  • 多くの経営者は、売上高、利益など同業他社と常に比較している。比較していると何かやりたくなる
  • 多くの経営者は、自分の能力を過信している

動きたくてうずうずしている経営者は、見た目が派手で容易な「企業買収」へと気持ちを向ける。


組織の習性がもつ2つ目の問題】資本配分がうまくできないこと

企業において社内で経営者に上り詰めた者は、営業や経理など専門分野で優れた能力を発揮したものが多い。

しかし、その過程で「資本配分」すなわち、儲けた利益をどこに配分するかという仕事はしていない。


そこで、経営者になると周りに相談することになる。

周りに相談することで、「組織の習性」が入り込んでしまう。

結果的に、資本配分はうまくできない。


組織の習性がもつ3つ目の問題】愚かなマネをすること

あそこがやっているから、私たちも同じようにすることが正しいという愚かな模倣をすること。


経営者を評価する方法

経営者を評価することは、財務諸表の評価よりも難しい。

なぜなら、人間の行動を測ることは、あいまいで正確性を欠くからだ。

多くのアナリストは、自信を持って経営者の評価ができず、経営者の評価は、無駄な作業だと信じている。


経営者の評価は、財務諸表など業績の数字にすべて反映されている。

そのため、それ以上の尺度は不要という意見もある。


バフェットの言うように、経営者の評価は難しいものの、ある程度は可能である。

なぜなら、経営者の言動をつぶさに観察していけば、財務諸表などで知るより早く、経営者の価値を評価できる手がかりが得られるからである。


バフェットは、経営者の評価方法の手がかりとして、

  • 2~3年前のアニュアルレポートに、目を通す
  • 将来の戦略に関する経営者の説明を、読む
  • 計画とその後の実績を、比較する
  • 計画は実現されたか?考え方は変わったか?を見る
  • そのアニュアルレポートを、同業他社と比較することも、おススメ


ただし、質がよいだけでバフェットが興味をもつわけではない。

なぜなら、賢くて有能な経営者にも救えない難局があることを知っているからだ。


財務に関する4原則

財務に関する4原則

7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

8. 「オーナー利益」を考えているか

9. 利益率の高い企業を探しているか

10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか


7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

一般的には、1株当たりの利益(EPS)で企業の年間業績を図る。

バフェットは、1株当たりの利益を煙幕で実態をごまかすようなものだと、指摘している。


与えられた資本を使って、経営者が事業から利益を生み出したか知りたいので、自己資本利益率(ROE)をバフェットは重視する。


負債比率を高めることで、自己資本利益率を上げることができる。

バフェットは、経営者が、借入金に頼らず自己資本利益率を上げようとしているかを見ている。


バフェットは、企業の適正レベルの借入金については、何も言っていない。

借入金を病的にまで嫌っているわけでなく、必要なときはあると認めている。


8. 「オーナー利益」を考えているか

バフェットは、「オーナー利益」でもって企業の価値を図っている。

「オーナー利益」とは、「純利益+減価償却費-設備投資」であらわされる。


キャッシュフローで、企業価値を図るには問題があるからである。

キャッシュフローの定義には、計算上で「設備投資」が抜け落ちていると指摘している。


設備投資は、現在の利益や業界内での位置を維持するには必須である。

バフェットによれば、アメリカの企業ほぼすべてが、減価償却費と同じ程度の設備投資を必要とする。


そこで、バフェットが好んで用いるのが「オーナー利益」という考え方である。

バフェット自身が認めるように「オーナー利益」は正確な数字ではない。

「おおまかに正しい」としている。


9. 利益率の高い企業を探しているか

バフェットは、経営者に売上げを利益に結びつける能力がないと、優良企業の投資でもうまくいかないと理解している。


利益を上げるには、「コスト管理」がすべてだ。


バフェットは、コスト上昇を放置する経営者を許さない。

バフェットは、飽くなきコスト削減に取り組む経営者を高く評価する。


バフェット自身が経営するバークシャーも例外ではなく、普通の企業の1/10の経費しかかかっていない。


10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

バフェットは、企業の経済的な価値と経営者の目的達成度を素早く判定する指標を「1ドルのルール」とした。


「1ドルのルール」とは、利益を内部に留保する1ドルに対して、株式市場での価値は1ドル以上上昇できるかどうかのルール。


長期的に見れば、株式市場は企業の価値を反映している。

内部に留保した利益について、以下のようにバフェットは考えている。

・内部留保された利益を、無駄使いすれば株価は落ちていく

・内部に留保された利益で、平均以上の利益を出せれば、株価は上がる。





市場に関する2原則

市場に関する2原則

11. 事業の価値はどれくらいか

12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か


11. 事業の価値はどれくらいか

バフェットは、「現在価値」と言われる考え方で、企業の価値を図る。

「企業の価値は、予想されるキャッシュフローを適切な利率で割り引いて算出される」としている。

将来受け取る収益を、今受け取ったとしたらどの程度の価値があるかを表すもの。


「現在価値」の説明は、以下の動画の1:21~3:47をご覧ください。(「人的資本(人)」を企業に置き換える)

ブログだと説明している図を、じっくり見ることができます。

【シンプルです】生涯賃金が増えない「決定的な理由」と「稼げる人」になるための5つの質問


ここで、問題になるのが「将来のキャッシュフロー」「適切な利率」の2つ。

バフェットは、

・将来のキャッシュフローは、シンプルで理解している企業なら高い確率で予想できること

・適切な利率は、シンプルに「アメリカ長期国債の利率」を使っている


一方で、

・将来のキャッシュフローの予想は、完璧に理解している企業でも難しいこと

・割引率を使うことで、企業の評価に大きな誤りが生まれることがある


という批判もあるのも事実だ。


バフェットは次のようにまとめる。

投資家が本当に価値あるものを買っているかは、キャッシュフローを現在価値に割り引いた価値からみて、割安かどうかである




12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

平均以上のリターンを上げる企業を見つけ、その企業が持つ価値よりも安い価格で買うことを、バフェットは目指す。


優良な企業を選ぶだけでなく、有利な価格で買わないと、投資は成功すると限らないと指摘する。

価格と価値との間に、安全マージンと言えるだけの十分な差があるときに買うことが重要だという。

価格 < 価値




安全マージンは、バフェットに2つの意味がある。

・ 価格の下落に対する備えになる

・ 安全マージンが非常に高いリターンを生む場合がある


企業の価値が下がれば、株価も下がってしまう。

安全マージンを十分に大きくとれば、多少企業価値が下がっても購入価格よりも下回るリスクが少ない。


高い投資リターンは以下の2つ。

・ 平均以上のリターンを生む企業を見つければ、長期的には株価は上がる

・ 価値より安い価格で買えば、市場は、価値にもとづいて株価が上がる


安全マージンがある魅力的な価格で買うことをバフェットは重要だという。


まとめ

この記事では、バフェットの投資原則ともいえる12の法則について要約しました。


一般投資には、「経営者の資質を測る」は、難しい。

なぜなら、大企業の経営者に会うことができないからです。


12の原則、全部でなくとも一部でも取り入れることで、バフェット投資術を身に着けることができます。

株を買う前に、チェックリストがわりにしてもらえれば幸いです。


バフェットは、12原則で投資をしている。

事業に関する3原則

1. シンプルで理解できる事業か

2. 安定した事業実績があるかどうか

3. 長期的に明るい見通しがあるか

経営に関する3原則

4. 経営者は合理的か

5. 株主に率直に話せる経営者か

6. 組織の習性に屈しない経営者か

財務に関する4原則

7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

8. 「オーナー利益」を考えているか

9. 利益率の高い企業を探しているか

10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

市場に関する2原則

11. 事業の価値はどれくらいか

12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か


ご参考までにどうぞ


さらに、DVDもあるようです。

-バフェットの法則