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【ネタバレなし】スノー・ボール ウォーレン・バフェット伝 感想

「スノー・ボール ウォーレン・バフェット伝」っておもしろいの?



この記事では、「スノー・ボール ウォーレン・バフェット伝」を感想とバフェットの教えを交えながら、魅力を紹介します。

世界一の投資家バフェットの教えがが、ギュッと詰まった「投資家必読の書」となっています。

出典 ウォーレン・バフェット Wikipedia より



この記事で分かること

ポイント

  • 感想 よい点と悪い点
  • 【スノー・ボールから抜粋】バフェットの教え



この記事を書いたひと

  • 株式投資歴10年
  • バフェット投資を実践
  • バフェットに投資を教えてもらった



この記事の信頼性

著者は、アリス・シュローダー。

5年間の密着取材から生まれた唯一の公認伝記!


大投資家ウォーレン・バフェットが人生とビジネスを語る。

投資戦術はもちろん、今まで明かされなかったプライベートのエピソードも披露。


全米ベストセラー第1位。


引用 アマゾン 『スノー・ボール』より



本記事をご覧いただければ、こんなことがご理解いただけます。

  • 「おもしろそうだ」と読みたくなる
  • 投資の経験がなくても楽しめる作品
  • 投資初心者~上級者まで、学びの大きな本だと分かる



【感想】よい点

よい点

  • 投資関係の本なのに分かりやすい
  • 投資家の参考になる事例
  • 悪いところも勉強になる



【よい点1】投資関係の本なのに分かりやすい

例えがうまい

もののたとえ方が、非常にうまく分かりやすいです。

本書では、投資の事柄を説明する際に、誰でも分かりやすい例えを出して説明する場面が多くみられます。



例えば、

バフェット率いるバークシャー社が、業績の悪い子会社に資金投入して救うことを、「子会社をレッカーで引き上げる」と表現。



繊維業という収益の柱が年々儲からなくなるバークシャー社。

バフェットが行った保険ビジネスを新たに収益の柱として再構築していくことを、「新たなビジネスで接ぎ木する」と表現。

接ぎ木(つぎき)とは、2個以上の植物体を、人為的に作った切断面で接着して、1つの個体とすることである。

引用 『接ぎ木』wikipedia

出典 カキ1年生台木の管理および接ぎ木方法(カキ幼苗接ぎ木法)



上記のような事案でも、投資用語だけで説明すれば当然難しくなります。

無理に投資用語だけで説明しようとせず、読者の理解を優先して執筆されたことが功を奏しました。




いい意味で肩透かし

バフェットと言えば、世界一の投資家。

投資の天才 バフェットの伝記ですから、投資に関して多少難しくても仕方ないところ。

しかし、分かりやすいたとえを多用することで、敷居がググっと低くなっています。




私が最初に読んだ頃は、投資初心者。

初めて読んだとき、

難しい投資理論や数式が出てきたらどうしよう・・・

と身構えていました。

しかし、最後までそんなこともなく、いい意味で肩透かしを食らった覚えがあります。

投資の経験の全くない方でも、楽しめます。




文章がやわらかい

文章自体がストレートで、読みやすいです。

凝った表現もなく、難しい投資事例の説明も部分的なもの。



「わかりやすいたとえ」と「やさしい文章」のおかげで、「スノー・ボール」は大作ながら、グイグイ読者を引き込みます。



かみ砕いたやさしい文章で描かれるバフェットの投資。

どうしても、投資には難しさが付きまといます。

しかし、「スノー・ボール」では、

投資ってなんだか楽しそうだなぁ ・・・

と読者に思わせてしまうのは、すごいですよね。



以上、よい点の1つめとして、「投資関係の本なのに分かりやすい」という話です。



【 よい点2】投資家の参考になる事例

資金の少ない若いころのバフェットの投資

世の中の多くの投資家が、たくさんの資金があるわけではありません。

資金の少ないとき、青年バフェットは、

  • 何を考えていたのか?
  • どんな投資していたか?

もっとも勉強になるところです。



バフェットは、お金持ちの家庭に生まれたわけではありません。

子どものころから、少しずつ、少しずつ自分の力でお金持ちへの道を歩んでいきます。



ネタバレになりますので、詳細は書きません。

「スノー・ボール」前半部分は読むペースを少し落として、 読んでみてください。

じっくり読むことで、学ぶところがとても多いです。



私は、「スノー・ボール」前半部分は、丁寧に読んで、今もよく参考にしています。



伝記で描かれる数々の投資実例

数多くの投資事例を、丁寧に分かりやすく解説してくれます。

私は、バフェット関連の本をたくさん読んでいます。

「スノー・ボール」がもっとも分かりやすく、バフェットの投資を説明しています。



投資事例で大切なのは、「うまくいった」か「そうでないか」よりも、バフェットの根底にある思考法の理解です。

バフェットは投資手法をある時期を境に次第に変えていきます。

その変わっていく姿も分かりやすい。



バフェットの投資手法の変更は、まさに「進化」と言えるもの。

慣れしたんだ投資手法から、四苦八苦しながら、ゆっくりと進化していくバフェットの姿が丁寧に描かれます。



本人談が多く、バフェットの考えが分かりやすい

関係者250人以上にインタビューして書きあげた「スノー・ボール」。

バフェット本人談も非常に多く掲載され、丁寧な取材が本当にありがたい。



やはり、バフェット本人の口から語られる話だから、説得力が違ってきます。

また、当時考えていたことを、バフェット本人の口から語ってもらえます。

これほど分かりやすいものはありません。

以上、よい点2つめとして、「投資家の参考になる事例 」という話です。



【 よい点3】悪いところも勉強になる

家庭は失敗

ネタバレになるので、詳細は避けます。

バフェットの家庭に関するものは、失敗です。

「仕事にのめり込みすぎれば、家庭が崩壊する」悪い見本。



1代で世界第2位の富豪にまで上り詰めた、バフェット。

バフェットの人生は、「お金がたくさんあれば、本当に幸せになれるか?」という疑問を、読者に突き付けてきます。



「スノー・ボール」を何度か読んでいる私。

読むたびに、「経済的成功」と「家庭の幸せ」のバランスが、本当に大事だと思い知らされ、気が引き締まります。



数々の投資の失敗例

「スノー・ボール」で描かれるバフェットの投資は、成功ばかりではありません。

むしろ、投資後に問題が表面化し、

  • バフェットが思ったほど、利益をあげることができない
  • 投資先の経営者が、無能だったり交代を繰り返す

など苦労が絶えないバフェットの姿が描かれ、失敗例も多い。



  • 世界一の投資家ですら、こんなに失敗が多い
  • 失敗が多くても、世界一の投資家になったこと

投資は、全部が全部で成功することが難しいことがよく分かりますよね。



以上、よい点3つ目として「悪いところも勉強になる 」という話です。



【感想】悪い点

悪い点

  • 投資手法は学ぶことはできない
  • 長い
  • 後から追加された2章の出来が悪い



【悪い点1】投資手法は学ぶことはできない

あくまで、「スノー・ボール」は伝記。

「スノー・ボール」を読んで、詳細な投資手法を学ぶことはできません。

バフェットの投資手法を実践したい方は、別の本で学ぶ必要があります。



ただ、投資の概要はよくわかります。

これは、作者アリスさんの分かりやすい解説のおかげです。



一通り他のバフェット関連本で、投資手法を学びます。

その後で、「スノー・ボール」を再読すると、アリスさんの解説がとても分かりやすいことに気づきます。

下手な投資本よりも、分かりやすい。



【悪い点2】長い

全体で、1,286ページの大作。

文庫本で上中下の3巻。



読んでみれば、おもしろいので気にならなくなります。

ただ、初めて手に取るには少し勇気が要ります。



ちなみに、私は5回は読んでいます。

読むたびに新しく学ぶことが出てくる本ではありますが、バフェットファンだからということが大きい。



【悪い点3】後から追加された2章の出来が悪い

ハードカバー版から、文庫化される際に、終わりの63章と64章が新たに追加されました。

はっきり言えば、追加された63章と64章出来が悪い。



元々62章で完結していたものに、無理やり2章を追加した形。

作品の中で、孤島のようにポッカリと2章だけ浮いています。



内容も、事実の羅列のようで、62章までの高いクオリティががくんと落ちます。

62章までは、アリスさんがバフェットにべったり引っ付いて密度の高い取材をしたのがよくわかります。

しかし、63章と64章ではそういった雰囲気は感じません。



【スノー・ボールより抜粋】バフェットの教え

バフェットの投資哲学を、ギュッと詰めたような箇所がありましたので紹介します。



長いので、ポイントを5つに。

ポイント

  • 株は長く持つ
  • 多くの方には、インデックス・ファンドを時間をかけて買うことがおススメ
  • 他人が怖がっているときは貪欲、他人が貪欲の時はおそるおそる
  • 市場を出し抜けると思わない
  • アクティブ投資家で成功するのはほんのひとにぎり



バフェットの本人談は以下です。

「株式は長く持っているものだ。

生産性が上がれば、それにつれて株価も上昇する。


間違いが起きる場合はいくつかある。

売買のタイミングがよくないのが、そのひとつだ。

高い手数料を払うのも損のもとになる。

そのふたつを避けるには、低コストのインデックス・ファンドを時間をかけて買うのがいい。


他人がこわがっているときには貪欲に、他人が貪欲のときにはおそるおそる。

ただし、市場を出し抜けるとは思わないこと。


アメリカの代表的な産業が好調をつづけそうなときに、優れた銘柄を選んで買えば市場平均より値上がりが期待できると、なぜ思う?

アクティブ投資家で成功するのは、ほんのひとにぎりだよ」


ウォーレン・バフェットの人生になにか教訓があるとしたら、この言葉に含まれた真実こそ学ぶべきだろう。


引用 『スノー・ボール』 第63章 危機 より



アクティブ投資とは

目安となるベンチマーク(日経平均とかS&P500など)を上回る成績を目指す運用スタイルのこと。

具体的には、市場や個別株を調査して銘柄選択。株式売買(運用)をする。



バフェットの投資の先生として有名な「ベンジャミン・グレアム」。

ビックリするほど同じことを言っていますので、あえて手を入れずそのまま引用します。

出典 ベンジャミン・グレアム Wikipedia より

ベンジャミン・グレアム Wikipedia



投資には、一般的にあまり好ましく評価されない特性がある。

素晴らしいとはいえないまでもまずまずの投資結果を、能力に乏しくほとんど努力をしない素人の投資家でも上げることが可能だということである。

しかし、そうした人々が技術を向上させようとするならば、たゆまざる努力と少なからぬ知恵が求められる。

もしも基本以外の知識や知恵を少しでも投資プログラムに組み入れようとすれば、普通より多少は良い結果を得られるどころか、かえってまずい結果に終わるだろう。

代表的な上場銘柄を買い持ちすれば、だれもが市場平均と同等のパフォーマンスを上げられる可能性があるので、「平均を上回る」のは比較的容易なことに思えるかもしれない。

しかし現実には、それを試みて失敗する賢い人々の比率は驚くほど高いのである。


【新 賢明なる投資家(上)】ベンジャミン・グレアム&ジェイソン・ツバイク著 まえがき より





「市場を出し抜くこと」に関しては、有名な投資本「株式投資 第4版」の一節からです。

本章では、経済指標に対する金融市場の短期的な反応に焦点を当てた。

市場の反応を観察し、理解するのは非常に興味深いことであるが、これらの指標発表に基づいて投資をするのは、油断のならないゲームであり、短期のボラティリティをこなすことのできる投機家に任せるのが一番である。

ほとんどの投資家は傍観しながら長期投資戦略に専念するほうがずっとうまくいく。

【株式投資 第4版】ジェレミー・シーゲル著 第14章 株式、債券と経済指標 より

ボラティリティとは

一般的に価格変動の度合いを示す言葉で、

ボラティリティーが大きい」という場合は、その商品の価格変動が大きいことを意味し、

ボラティリティーが小さい」という場合は、その商品の価格変動が小さいことを意味します。


引用 SMBC日興証券 公式サイト 初めてでもわかりやすい用語集 より 

※分かりやすくするため、太字強調をさせていただきました



バフェットは、「素人が株式投資を絶対するな」とは言っていないことに注目。

副業だからとか甘い考えで投資に取り組むなってことですね。



まとめ:世界一の投資家の教えが満載!投資を志す方、すべての人が必読の伝記

この記事では、「スノー・ボール ウォーレン・バフェット伝」をご紹介させていただきました。



本書は、「オマハの賢人」こと、世界一の投資家 ウォーレン・バフェットの教えが満載の伝記作品。

数あるバフェット投資関連本の中でも、特に理解しやすい。

株式投資を志す多くの方に、ぜひ手に取っていたきたい一冊です。



よい点

  • 投資関係の本なのに分かりやすい
  • 投資家の参考になる事例
  • 悪いところも勉強になる

悪い点

  • 投資手法は学ぶことはできない
  • 長い
  • 後から追加された2章の出来が悪い



バフェットの教え

  • 株は長く持つ
  • 多くの方には、インデックス・ファンドを時間をかけて買うことがおススメ
  • 他人が怖がっているときは貪欲、他人が貪欲の時はおそるおそる
  • 市場を出し抜けると思わない
  • アクティブ投資家で成功するのはほんのひとにぎり


投資初心者のころ、私は投資で負けてばかりで、心が折れかけていた時期があります。

そんなときに、地元の図書館でたまたま手にしたのが、この「スノー・ボール」でした。



投資家として、気持ちを持ち直し、なんとか今までやってこれたのも、バフェットの教えや本書のおかげ。

あなたにとっても、そんな運命の一冊になるかもしれません。



よろしければ、どうぞ。

文庫版です。



大作でかさばるので、電子書籍がおススメ。

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