
ハワード・マークスは、バフェットをどんなふうに見ているのだろう?
この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。
内容としては、序文(ハワード・マークスによる分析、バフェットの10つの成功要因)を要約した記事となります。

この記事で分かること
- 【バフェットも一目置く】凄腕投資家 ハワード・マークスとは?
- マークスによる、バフェットの成功要因10個の解説
この記事の信頼性
- 「バフェットの法則」という本を丁寧に要約
- 筆者 ロバート・G・ハグストロームさんは、長年のバフェット研究家
- ロバートさん自身、バフェット投資術を使ったファンドを運用
筆者の言葉を、大切に丁寧な要約を心がけました。
この記事を書いた人

- 株式投資歴10年。バフェット本読書歴9年。
- 大損してバフェット投資術に出会う
- バフェット投資術実践中
この記事を読むメリット
- 凄腕投資家マークスから見た、「なぜバフェットが成功するのか?」分かる
- 一般投資家が、参考になるアドバイス
ハワード・マークスってどんな人?

ポイント
- バフェットも一目置く投資家
- バフェットは、マークスからの「顧客向けレター」を何よりも真っ先に読む
- 巨大な資産運用会社 オークツリー・キャピタル・マネジメント共同創業者
- ハワード・マークスが書いた本「投資で一番大切な20の教え」を、バフェットが大絶賛
- バフェットは、「投資で一番大切な20の教え」を大量購入し、株主総会で配布した
ハワード・マークスからの「顧客向けレター」が届くと、私は何においても必ず真っ先に読むことにしている。
ウォーレン・バフェット
オークツリー・キャピタル・マネジメント共同創業者。
運用資産は800億ドル以上の投資会社。
投資家の間では、マークスが顧客に詳細な投資戦略や経済情勢への洞察を伝える「オークツリー・メモ 」で知られている。
2011年 「投資で一番大切な20の教え」を出版。
バフェットは、「投資で一番大切な20の教え」を「極めてまれにみる、実益のある本」として絶賛。
さらにバフェットは、大量購入して、バークシャー・ハザウェイの株主総会で配布した。
ハワード・マークスが分析!「バフェット成功10の要因」(序文要約)

ハワード・マークスから見た「バフェットの成功要因」は10個あります。
バフェットの成功要因10個
- 頭がすごく切れる
- 一貫した投資哲学に従っている
- メンタルが柔軟
- 感情的にならない
- 人の逆を行き、しきたりにとらわれない
- 景気の循環にとらわれない
- 長期的な視点を持ち、変動を気にしない
- 最高のチャンスであれば、巨額の投資にも怯まない
- 相場が動かなくても気にしない
- 仕事を失うことを気にしない
以下、解説していきます。
お時間のない方のために、各項目のポイントだけ読んでいただいても分かるようにしました。
【成功要因その1】頭がすごく切れる

ポイント
- バフェットは、素晴らしい分析力を持っている
- バフェットの判断は非常に速い
バフェットの特徴を表す言葉として、次の一言を紹介する。
IQが160あったら30は売ってしまいなさい。
あなたには必要がないから
ウォーレン・バフェット
大成功するためには、IQが高い天才である必要はない。
十分に頭が動けばいいだけで、それ以上の知力が成功確率を上げることはない。
頭が切れると同時に、ビジネスのセンスがよく、抜け目なく、そして地に足の着いた人物である必要がある。
バフェットの成功要因
- 問題の本質に鋭く切り込む
- 説得力のある結論を導き出す
- 結論を安易に変更しない
3つ合わせた「分析力」が優れている。
バフェットは、判断が早く、結論を出すのに何週間もかけることはない。
バフェットに必要なのは、真に重要なデータのみ。
バフェットは、真に重要なデータを見極めることがとてもうまい。
【成功要因その2】一貫した投資哲学に従っている

ポイント
- バフェットは、自分の知識の限界を知っている
- 重要なのは、自分が投資しなかった銘柄で他人が利益を出したとしても、それを冷静に見ているられること
多くの投資家の間違い
- 自分は頭がよくて、何でも理解できると考えている
- 投資家は、変化に対応したアプローチを常にとるべき、と考えている
すべてのことを、分かっている人などいない。
常に最適な手法を学んで、活用することは容易ではない。
バフェットは、自分の限界を知っている。
自分の理解していることを活かし、それ以外のことは、「分かっている人」に任せている。
バフェットの投資対象は、自分が理解し、気に入った産業だけだ。
バフェットは、自分の哲学や知識から外れるものには手を出さない。
重要なのは、自分が投資しなかった銘柄で他人が利益を出したとしても、冷静に見ていられることだ。
【成功要因その3】メンタルが柔軟

ポイント
- 優れた投資哲学に出会ったとき、今までの哲学を「いつまで」続けるか、「いつ」変えるかのタイミングが大事
- バフェットはチャレンジを恐れないし、だからといって必要以上に自分の考えに固執しない
若いころのバフェットは、師匠であるベンジャミン・グレアムに忠実な弟子であった。
誰もが見放した企業を、純資産価値以下の価格で買う「ディープ・バリュー」の手法だった。
しかし、のちに、盟友チャーリー・マンガーの強い勧めで方針を転換。
他社にマネできない特色、価格競争力を持ち、優秀な経営陣が率いる良質な企業を割安な価格で買うようになった。
哲学は人を導くものであって、盲従を求めない。
哲学とどう向かい合うかは、投資において難しい判断になる。
バフェットはチャレンジを恐れないし、一時的な流行に左右されない。
だからといって、自分の考えに固執しない。
【成功要因その4】感情的にならない

ポイント
- 投資で難しいのは、感情をコントロールすること
- バフェットは感情に左右されない
投資で難しいのは、感情をコントロールすることだ。
投資家が客観的でいられないと、以下の3つが起きる。
- 株価が上がると、貪欲になり、さらに買い進めてしまう
- 株価が下がると、不安になり損をしても売ってしまう
- さらに最悪なのは、自分の成績を他人と見比べてしまうこと
バフェットは感情に左右されない。
株価が上がっても大喜びすることもなく、株価が下がってもがっかりすることはない。
バフェットにとって大事なのは、以下の2点である。
- 自分と盟友チャーリー・マンガーがどう考えるか
- バフェットが経営するバークシャー・ハザウェイの株主に、利益をもたらしているか
【成功要因その5】人の逆を行き、しきたりにとらわれない

ポイント
- 多くの人と同じことをしようとする人が多数だが、優れた投資家は大勢に従わない
- バフェットは、人の逆を行く能力が高いことは明らかだ
感情に流されやすいと自分でわかっていても、多く人と同じことをしようとする人が多数だ。
優れた投資家は、以下の3点のことができる。
- 大勢に従わず、重要なタイミングで集団から離れる
- 集団の行動が誤りである理由を理解したうえで、人の逆を行く
- 流れに逆らうことは、「図太さ」がいるし、永遠かと思えるほど長く感じることもある
バフェットは、人の逆を行く能力が高いことは明白だ。しかも彼はそれを楽しんでいる。
【成功要因その6】景気の循環にとらわれない

ポイント
- 優れた投資家は、市場動向が予測不能であることを受け入れている
- バフェットは、景気の上げ下げにとらわれない投資をしている。
優れた投資家は、経済成長や金利、市場動向が予測不能であることを受け入れている。
予測不能を受け入れてどう行動すればいいか?
景気の循環にとらわれないことだ。
景気の循環とは、「景気のいいとき」「景気の悪い時」の繰り返し。
景気が上向きの時、
- 気分的に投資しやすい
- 企業の業績はいい
- だが、株価が上昇傾向なので、投資をしてもあまりもうからない
投資で最大の利益を得るには、「景気の下向き」のときである。
景気や企業業績が不調であり、資産価格の本当の価値より安い時がある。
しかし、ここで買うのは実に難しい。
バフェットは、景気の循環に左右されない投資ができる能力がある。
実際に、数々の投資では相場の大底で買いに行き、成功させている。
今振り返れば、「素晴らしい投資」だった。
しかし、当時の誰もが破綻を恐れているときに、バフェットと同じような大胆な行動がとれただろうか。
【成功要因その7】長期的な視点を持ち、変動を気にしない

ポイント
- バフェットは、「保有期間は永遠」と言ったことで有名。長期保有にこだわる
- バフェットは、長期的に投資しているので、変動の大きいときも振り回されない
ハワード・マークスが指摘する、投資家にとってのタイムスパンが短くなってきた要因は、2つある。
- メディアが目先の利益に関心を持ちすぎる。その傾向が投資家に伝染した
- ヘッジファンドが高い報酬を得るために、1年ごとの投資利益を目標にした
逆に、長期的視点を持った人間には、利益を得るチャンスである。
バフェットは、「保有期間は永遠」と言ったことで有名だ。
長期で保有することで、有利な点が2つある。
- 複利計算で、利益を積み上げることができる
- 短期間で利益を確定させないので、税金が安い
長期に投資することで、変動に振り回されないし、逆に利用することもできる。
バフェットは、1度も売らずに済むなら、その方が楽しいと行動している。
【成功要因その8】最高のチャンスであれば、巨額の投資にも怯まない

ポイント
- バフェットは、分散投資をしない
- 最高のチャンスは滅多に来ないから、最高のチャンスだけを狙い、その時が来たら大きな金額を投資する
分散投資は、慎重な投資法である。
分散しすぎると、大きく勝つ可能性も低くなる。
バフェットの言葉を借りよう。
- 分散投資はしない
- 投資する事業を深く理解し、割安な価格で集中投資すればリスクは低い
最高のチャンスは滅多にこないことを、バフェットは理解している。
投資するかの基準を高くし、最高のチャンスだけを狙い、そのときがきたら大きな金額を投資する。
これらの考え方は、並外れた成果を上げようとするなら必須である。
【成功要因その9】相場が動かなくても気にしない

ポイント
- 常に素晴らしい投資機会があると振る舞う投資家が多すぎる
- バフェットは、「これだ!」というものがでてくるまで長期間何もしないでいられる
常にすごいことがあるかのように振る舞う投資家が多い。
しかし、素晴らしい投資機会は例外的にしか訪れない。
バフェットは、長期間何もしないでいられることはよく知られている。
「これだ!」というものが出てくるまで決して動かない。
野球での打者に例えて、「最高の1球」を来るまで待ち、その1球だけを打つ。
「絶対によいものだけに投資する」というバフェットの主張をよく表している例えだ。
【成功要因その10】仕事を失うことを気にしない

ポイント
- 多くの人は、失敗を恐れて大胆な行動を起こすことができない
- 大胆な行動を起こせないから、人に差をつけることはできないし、偉大な投資家になれない
- バフェットは、偉大になるだけの勇気を持つ
自分の信じる行動をとれる投資家は、ほとんどいない。
失敗した時が怖いから、集中投資はできない人が多い。
他人の資金を預かっているファンドマネージャーは、特に失敗を恐れる。
大胆な行動の末、失敗したらクビになるからだ。
当然、動きはおとなしくなり、顧客から文句の言われないことしかしなくなる。
しかし、それでは偉大な結果を生むことはない。
バフェットは、「ファンドマネージャー」ではない。
永遠にとどまることのできる立場、バークシャー・ハザウェイの「経営者」である。
市場が危機に陥っても、多くのファンドマネージャーのように、資産を売却する状況に追い込まれない。
バフェットが、バークシャー・ハザウェイを企業形態にして投資をしているのは、偶然ではない。
さいごに

ポイント
- バフェットと他の偉大な投資家は、共通点が多い
- バフェットが60年間行ってきたことは、理論的には多くの人にも可能だった
- なぜ、みんながバフェットと同じことができないか?すべての特徴を活用することが、難しいから
ハワード・マークスからみた、バフェットと他の偉大な投資家との共通点。
- 集中力、自分を律する態度、常に目的をもって行動することができること
- 頑張り屋で、数字に強く論理的であること
- 書物や人のネットワークからも情報を得る
- お金や名誉のためでなく、難しい難問を解くことを楽しむように投資をしている
バフェットが60年間行ってきたことは、理論的には多くの人にも可能。
バフェットと他の偉大な投資家との共通点も、唯一無二のものではない。
どうして、バフェットとおなじことができないのか?
結局、すべての特徴を活用できる人は少ない。
バフェットの異例の成功は、「様々な特徴の組み合わせ」と「特別な人にしかない特別な何か」が加わったものである。
まとめ

この記事では、著名投資家ハワード・マークスが分析した、「バフェットが成功した10の要因」について解説しました。
一般の投資家にも、とても勉強になる解説です。
ぜひ、今後の投資活動に取り入れてみてください。
ハワード・マークスってどんな人?
ポイント
- バフェットも一目置く投資家
- バフェットは、マークスからの「顧客向けレター」を何よりも真っ先に読む
- 巨大な資産運用会社 オークツリー・キャピタル・マネジメント共同創業者
- ハワード・マークスが書いた本「投資で一番大切な20の教え」を、バフェットが大絶賛
- バフェットは、「投資で一番大切な20の教え」を大量購入し、株主総会で配布した
ハワード・マークス 序文要約
バフェットの成功要因10個
- 頭がすごく切れる
- 一貫した投資哲学に従っている
- メンタルが柔軟
- 感情的にならない
- 人の逆を行き、しきたりにとらわれない
- 景気の循環にとらわれない
- 長期的な視点を持ち、変動を気にしない
- 最高のチャンスであれば、巨額の投資にも怯まない
- 相場が動かなくても気にしない
- 仕事を失うことを気にしない
ご参考までにどうぞ
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