バフェットの法則

【投資実例4】コカ・コーラ

「バフェットの法則 第4章 9つのケースステディで学ぶバフェットの投資法」。

 投資実例4 コカ・コーラ


4. コカ・コーラ

コカ・コーラとは

  • 世界最大の清涼飲料水メーカー。世界200ヶ国以上で500種類の飲み物を販売
  • バフェットは、子供のころにコーラを売る商売をしたことがある
  • 1989年にバークシャー・ハサウェイがコカ・コーラに投資
  • バークシャーのポートフィリオの3分の1にあたる。1つの企業にこれほどの投資をしたのはなかった(当時)
  • バフェットは、コカ・コーラ株を簿価5倍、利益の15倍で買った(1989年 バフェットは10億2,300万ドル投じた)

バフェットの株(バフェット銘柄)って言えば「コカ・コーラ」が超有名。

バフェットは、「チェリー・コーク」が大好物!

チェリー・コークって何?

日本では見たことない。

「うげっ!」ってなるくらいすごく甘い飲み物らしいよ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia) チェリー・コーク より


使われたバフェットの法則

1. シンプルで理解できる事業か

2. 安定した事業実績があるかどうか

3. 長期的に明るい見通しがあるか

9. 利益率の高い企業を探しているか

7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

5. 株主に率直に話せる経営者か

4. 経営者は合理的か

8. 「オーナー利益」を考えているか

6. 組織の習性に屈しない経営者か

11. 事業の価値はどれくらいか

12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か


1. シンプルで理解できる事業か

ポイント

  • コカ・コーラの事業は、比較的分かりやすい
  • 一般的な材料を購入し、ボトラー(瓶詰業者)に濃縮液を販売(コカ・コーラ原液)
  • ボトラーは、ほかの材料を混ぜて商品を製造。商品をコンビニ、スーパーなどに販売
  • コカ・コーラは、レストランやファストフードにも販売する


夏に飲む、キンキンに冷えたコーラはおいしい!

みんな知っていますよね、コーラ!

2. 安定した事業実績があるかどうか

ポイント

  • コカ・コーラほど、安定した実績をもつ企業はない(バフェット談)
  • 1886年にコーラを販売開始。130年経ち種類は増えたが、同じ飲み物。変わったのは、規模と地理的な広がり
  • コカ・コーラと肩を並べる企業を、挙げることは難しい(バフェット談)


コカ・コーラと肩を並べる企業を挙げることは難しい。

変わらない商品を販売し、コカ・コーラの記録に匹敵するスピードで売上げを伸ばせる企業はない

(バフェット談)


3. 長期的に明るい見通しがあるか

ポイント

  • 世界のトップ企業でありつづけることが確実な企業は、コカ・コーラ以外思い浮かばない(バフェット談)
  • 1970年代は、経営者ポール・オースティンのもと低迷。環境問題に悩まされ、事業の多角化に失敗
  • 1980年代に、ロベルト・ゴイズエタ会長とドナルド・キーオ社長のもとで進展した改革で復活
  • なぜバフェットは、1980年代に投資をしたのか?それは、2人の経営者の存在だった

ドナルド・キーオは、バフェットのご近所さんです


ロベルト・ゴイズエタ(キューバ生まれ。コカ・コーラ初の外国人CEO)が、改革のためすぐにやったこと。

  • 上級管理職を招集。話し合いをして、徹底的にコカ・コーラの悪いところの洗い出し
  • 「1980年代の戦略」というコカ・コーラの企業目的をまとめたパンフレットを作成
  • 管理職には「リスクをとれ」と励ました(受け身ではなく、仕掛けていく企業にしようとした)
  • コスト削減から手を付けて、利益率の改善に成功

出典 Wikipedia  ロベルト・ゴイズエタ


9. 利益率の高い企業を探しているか

ポイント

  • 1980年の税引前利益率12.9%
  • ゴイズエタが指揮を執った初年に、13.7%に上昇
  • バフェットが株を買いだした1988年は、さらに上昇して税引前利益率は19%に


7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

ポイント

  • 1970年代低迷期でも、自己資本利益率は20%と高い数字だった
  • ゴイズエタの指揮のもと、1988年には、自己資本利益率31%に達した
  • 1980年時価総額は41億ドル、1987年時価総額は141億ドル(1987年10月に市場が大暴落にもかかわらず)
  • 留保した1ドルに対して、市場価値を4.66ドル増やすことに成功


低迷期でも十分高い、自己資本利益率20%。

しかし、ゴイエスタは満足しなかった!

5. 株主に率直に話せる経営者か

ポイント

  • ゴイエスタの1980年代の戦略は、明らかに株主に配慮している
  • 「株主のために働き、投資を守り、平均以上の投資リターンを得られるように」(ゴイズエタ談)
  • 株主への配当をきちんと行いながら、利益の多くの部分を事業に再投資して企業の成長の維持に努めた
  • ゴイズエタの事業目的は明確「長期に保有している株主の価値を増大させること」


事業を利益を再投資して成長させながら、株主の投資の価値を上昇させる

  • 利益率と自己資本利益率を上げる
  • 配当性向を下げながら配当を増額させた
  • 高リターンの飲料ビジネスに特化


株主にも配慮し、事業も成長させるなんて・・・

これはすごい・・・

4. 経営者は合理的か

ポイント

  • 改革により利益率の増加が、使えるお金を増やした(キャッシュフローの増加)
  • 株主への配当金を増やしながら、1984年には自社株買いも実行


8. 「オーナー利益」を考えているか

ポイント

  • オーナー利益(純利益+減価償却費-設備投資額)とは、簡単な企業の収益性を表す
  • オーナー利益は、1973年 1億5,200万ドル → 1988年 8億2,800万ドルに増加
  • コカ・コーラの総リターンは、1973~1982年(低迷期)年平均6.3%だったが、1983~1992(ゴイズエタ指揮)年平均31.1%


企業の儲ける力が分かるとか。

しかも、どんな業種でも使える。

6. 組織の習性に屈しない経営者か

ポイント

  • ゴイズエタは、組織の習性に屈しない経営者
  • 前任オースティンが広げた本業とは無関係の事業を処分し、核となるビジネス「原液販売」に回帰することに注力した
  • 同時期、同業他社は「多角化」に舵を切っていた。ゴイズエタは、単品ビジネスに回帰した(成功)


注目すべきは、ゴイズエタの決断

  • 最大かつ最も重要な製品に集中(原液販売)
  • 最も利益率が高い事業に、事業資源を再配分した(原液販売は利益率が高い)
  • 同業他社がこぞって「多角化」を進む中、コカ・コーラだけが違う道を選んだこと


みんなと違う道を一人で行くのは勇気が要りますよね

11. 事業の価値はどれくらいか

ポイント

  • コカ・コーラの価値は、事業から期待されるオーナー利益の総額を適切な利率で割り戻すことで測ることができる(バフェット談)
  • 1981~1988年にかけて、オーナー利益は年率17.8%で成長(長期国債の利回り9%)
  • 急成長する企業には、2段階の割引モデルを使う。その計算では、483億7,700万ドル、381億6,300万ドル、324億9,700万ドル、207億ドルの4パターンの計算


2段階の割引モデル(急成長はいつかとまるから)での事業価値の計算

最初10年間の成長率(急成長時)その後の成長率事業価値
15%5%483億7,700万ドル
12%5%381億6,300万ドル
10%5%324億9,700万ドル
5%5%207億ドル


成長率で2つに分ける「2段階」かぁ。

こんな計算の仕方もあるんですね

12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

ポイント

  • バフェットが投資した10億2,300万ドルは、1999年には116億ドルに大きく増加した
  • 1988~1989年コカ・コーラの時価総額は、平均151億ドル
  • バフェットの見立ては成長率に合わせて4パターン。オーナー利益の成長率5%で207億ドル、10%で324億ドル、12%で381億ドル、15%で483億ドル


バフェットにとって、コカ・コーラは、会社が繁栄を続けたため、割安で買うチャンスはなかった。


みんなの目には151億ドル。

バフェットの目には多くて483億ドル、少なくても207億ドルと見えていたんですね。

まとめ

この記事では、バフェットの投資実例として、コカ・コーラを見てきました。


  • 分かりやすいシンプルなビジネス
  • 優れたビジネスモデル
  • 愚かな経営者の存在


株価は安くはなく、愚かな経営者がいた。

ゴイズエタの改革で大きく生まれ変わるコカ・コーラ。

元々が優れたビジネスモデルとはいえ、「立て直し」がうまくいかないケースもあります。

なかなか勇気のいる投資です。

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