「バフェットの法則 第4章 9つのケースステディで学ぶバフェットの投資法」。
投資実例8 IBM
Contents
8. IBM
IBMとは
- アメリカのコンピューター関連会社
- バフェットは、ハイテク株を買わないことで有名。IBMへの投資は、周囲が驚いた
- バフェットを悩ませていたのは、ハイテク企業は「将来のキャッシュフローを見通すことが難しい」こと
- ハイテク産業の本質は、常に破壊とイノベーションが繰り返し
- 2011年 バフェットはIBMへ108億ドル投資した(当時としてはバフェット最大の投資)
ハイテク産業
高度な科学技術を必要とする産業のこと。
IT産業との違いは、「高度な」科学技術が要るか要らないかの違いです。
ハイテク産業は、テクノロジー(技術)がもつ有効期間が非常に短いことも特徴。
使ったバフェットの法則
4. 経営者は合理的か
3. 長期的に明るい見通しがあるか
9. 利益率の高い企業を探しているか
7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか
10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか
11. 事業の価値はどれくらいか
4. 経営者は合理的か
ポイント
- 1993年 ルイス・ガースナー 2002年 サム・パルミサーノと2人続けて優れた経営者を輩出
- 1992年に50億ドルの損失をだし、IBMは一時倒産しかけた
- 倒産寸前のIBMを救ったのは、ルイス・ガースナー。さらにそれを引き継いだのが、サム・パルミサーノ
- 利益率の低いハードウェアビジネスを売却、ソフトウェアとサービスの会社に生まれ変わらせた
- ルイス・ガースナーとサム・パルミサーノ共に大規模な自社株買いを行い、株主還元した
ルイス・ガースナーとサム・パルミサーノが行ったこと
- 利益率の低いハードウェアビジネスを売却
- パソコンビジネス売却
- IBMを、サービス、インターネット、ソフトウェア分野で成長させた
あれほどの腕前の経営者は大手企業ではほかに思いつかない(バフェット談)
1993年、ナビスコ社から引き抜かれたルイス・ガースナーがCEOに就任し、不採算部門の売却、世界規模の事業統合、官僚主義の一掃、顧客指向の事業経営を行い、独自システムと独自OSによる顧客の囲い込みをやめ、オープンシステムを採用したシステムインテグレーター事業へ戦略を大きく転換した。
また顧客の要望を聞き、顧客はトータルなサービスを望んでいると考え、IBM分社化の動きを停止した。
これによりIBMはLinuxを推進する大手コンピュータ企業の筆頭となった。
引用 wikipedia IBM
バフェットも絶賛した経営者 ルイス・ガースナーの名著です。
IBM立て直しの軌跡が分かります。
バフェットによると、自社株買いをしている会社の株をバークシャーが買うときは、以下のことを考える。
- 増益が長期にわたって期待できること
- 低い株価が長期間続くこと
短期的な評価が支配する世界で、長期にわたって株価が低いことを願うのは、矛盾しているように思える。
しかし、真の長期投資家とっては、実に合理的な考え方である。
なぜなら、自社株買いを実行するにあたり、株価の高い安いが大きな影響を与えるからだ。
大きな影響とは、同じお金を出して、株価次第で買うことのできる株の量が変わることである。
3. 長期的に明るい見通しがあるか
ポイント
- IBMの株を買うのが遅かった(バフェット談)
- IBMはIT産業の巨人。ITサービスの種類の中で、コンサルティング、システム構築は世界最大
- ITサービスは、テクノロジー分野で安定成長が見込める部門だと見られている
- 評判や過去の実績は、他社を寄せ付けない差別化につながる。他社に乗り換えコストは、優位性につながる
- ITサービス市場全体として、2011年に8,440億ドルから、2016年には1兆500億ドルに成長すると見込まれた

バフェットは、50年間IBMのアニュアル・レポート(年次報告書)を読み続けたとか!
9. 利益率の高い企業を探しているか
ポイント
- 2人の優秀な経営者により、利益率の低いハードウェアビジネスから、利益率の高いコンサルティングとソフトウェア会社へ変身した
7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか
ポイント
- 1994年 ルイス・ガースナーが立て直しに取り組んだとき、自己資本利益率は14%
- 2002年 ルイス・ガースナーが引退したとき、自己資本利益率は35%
- 2012年 サム・パルミサーノの時期には、自己資本利益率62%に達していた
大きな成長の要因は2つ
- 自社株買いによるもの(影響はわずか)
- 利益率の低いビジネスから離れ、コンサルティングやアウトソーシングを大きく育てたこと

自己資本利益率62%!
とんでもない数字ですよね!
10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか
ポイント
- 大きく成長したが、バフェットが求めるレベルには達していない
- 2002~2011年で、IBMは1,080億ドルの利益を生んだ。それらをうまく活用して成長した
- 資本規模が大きく、倒産寸前まで追い込まれたIBMにとっては、十分に評価に値する

劇的な企業再生ですが、バフェットの基準には満たないのか・・・
11. 事業の価値はどれくらいか
ポイント
- バフェットが使う「現在価値」で計算する
- バフェットの平均購入コスト 169ドル
- IBMの成長率を2段階に分けて計算 7%モデルで326ドル、5%モデルで279ドル。いずれもバフェットは安く買ったことになる(169ドルで買う)
- IBMの投資は、一般的には割高。しかし現在だけでなく、長期の成長を見込むと割高ではない
- IBMは、「景気循環の影響を受けない要塞」であり、「将来の利益は、予想するのは簡単」である
まとめ
この記事では、バフェットの投資実例として、IBMを見てきました。
- 優れた経営者が2人続いたこと
- バフェットが避ける『企業立て直し』ケースへの投資
- バフェットが避ける『ハイテク企業』
結果として、2人の優れた経営者のおかげで倒産危機から一転。
優れた経営者をバフェットが信頼した投資成功例です。
一方で、当時「ハイテク嫌い」と有名だったバフェット。
しかし、「嫌い」で思考停止せず、チャンスとみれば、ある程度のリスクを取り、挑戦するバフェットの姿が見て取れます。
最近では、「ハイテクの代表格」iphoneでおなじみのアップル株の大量保有しているバフェット。
あの「ハイテク」嫌いのバフェットからは想像もできない驚くべき転身ぶり。
常に投資を進化させていこうとする、バフェットの投資姿勢がよくわかる事例です。