バフェットの法則

バフェットに学ぶ!投資心理学の使い方(バフェットの法則6章要約)

バフェットって、投資での感情の浮き沈みをどうやって乗り切っているの?



この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。

内容としては、「第6章 バフェットの投資心理学」を要約した記事となります。



要約の結論は、「心理的なワナを避け、株価ではなく企業の価値を見て投資せよ」となります。




出典 Wikipedia 「ウォーレン・バフェット」 より

この記事で分かること

  • 投資で使える心理学の要約
  • バフェットの投資心理学の使い方
  • 本章を実際に使ってみて




この記事の信頼性

  • 「バフェットの法則」という本を丁寧に要約
  • 筆者 ロバート・G・ハグストロームさんは、長年のバフェット研究家
  • ロバートさん自身、バフェット投資術を使ったファンドを運用 

筆者の言葉を、大切に丁寧な要約を心がけました。



この記事を書いた人

  • 株式投資歴10年。バフェット本読書歴9年。
  • 大損してバフェット投資術に出会う
  • バフェット投資術実践中



この記事を読むメリット

  • 投資心理学といかに付き合うかがわかる
  • バフェットが投資心理学をどのようにとらえているか、分かる
  • 実践した人の感想が分かる


「バフェットの法則」は、バフェット投資術を全体像をとらえ、比較的やさしく解説している本です。

残念ながら、具体的な株の銘柄選定の仕方や、いくらで買うかなどの記載はありません。

しかし、

  • 投資の心構えや知っておきたいこと
  • 自分でひとりで投資する際、軸となる投資の考え方

が満載です。



本記事をご覧いただき、投資手法として取り入れてみてください。



Contents

6章 バフェットの投資心理学 要約

この章では、短期的な株価変動が投資家の行動に、どのようなマイナスの影響を及ぼすか考えてみよう。

興味深い心理学の領域である。


人間にとって、お金との関係ほど感情が深く関わるものはない。

株式市場ではとくに重要なこと。

それは、「株式購入の意思決定の大部分は、人間の行動原理で説明できること」である。




市場は、株を買う人の意思決定の集合体と見ることができる。

すなわち、「市場全体が、心理的な力で動かされている」と言っても過言ではない。


1 心理学と経済学がまじわるところ

投資の世界では、心理がとても大きな役割を果たしている。


とくに、すべての投資家が肝に銘じるべきは、「間違った判断をしたことを気づかないこと」である。

誤った判断をする心理を学ぶことは、財務分析と同じくらい重要だ。


グレアムの教え

バフェットの投資の先生 ベンジャミン・グレアム。



グレアムは、著書の中でかなりの紙幅を割いて、説明している箇所がある。

「投資家の感情が、株式市場の変動を引き起こすこと」である。



グレアムは、言う。

  • 投資家の最大の敵は、自分自身(の感情)
  • 会計学について優れた能力を持つ者はいる。しかし、自分の感情がコントロールできなければ、投資で利益を得ることはできない




教え子のバフェットは、グレアムの教えについて、「3つの重要な原則がある」とする。

  • 株式を、『企業』としてみること
  • 安全マージン
  • 株式市場に対して、真の投資家として臨むこと

株価が下落しても、「無視する」できるの感情の平衡を保つことである。



グレアムの言葉を借りよう。

真の投資家は、株式をイヤイヤ売らなければいけなくなることはまずないし、普段は毎日の株価を無視しても構わない

真の投資家とは

株式市場で避けられない変動(特に下落)に対して、資金と心理の両面で準備が整っている状態のこと




ミスター・マーケット

グレアムは、自分の主張を理解させるため「ミスター・マーケット」という架空の人物を作り出した。

有名なミスター・マーケットの話は、以下です。

  • あなたは、ミスター・マーケットとは事業パートナーである
  • ミスター・マーケットは、自分の事業の持ち分の価値を毎日あなたに知らせてくれる
  • あなたとミスター・マーケットの事業は、比較的安定している
  • ミスター・マーケットは、情緒不安定
  • ミスター・マーケットは、ある日は、明るい未来を描き「高い価格」。別の日は、悲観にくれ「低い価格」をあなたに出してくる



ミスター・マーケットは、株式市場における日々の株価そのものである。

投資家は、彼がまともでないとき(低い価格)は、無視すればよい。

まとも(高い価格)の時は、うまく利用することが正しいやり方だ。


事業について的確に判断すると同時に、ミスター・マーケット(株式市場)が引き起こす気まぐれに振り回されないことが求められる。


2 行動ファイナンス

行動ファイナンスは、心理学の理論を使って、市場の非効率性を解明する調査研究である。



自信過剰

いくつかの心理学の研究によれば、判断を誤る原因は概して自信過剰にある。


投資家は自信をもっていて、自分は人より優れていると考え、自分の腕を過信する。

自分が信じている情報は頼り、気に食わない情報は無視する。

さらに、知らない情報を探すより、知っている情報を評価する。


投資家は、他人を出し抜けると信じてしまうことがとても多い。

なぜなら、自分が他の投資家よりもよい情報をもっていると考えるからだ。

このように、自信過剰こそが多くの投資家が誤った判断をする理由である。


過剰反応のバイアス

行動ファイナンスの最近の研究で、分かったのは、

たまたま発生した事象を重視しすぎて、『自分がトレンドをつかんだ』と考えてしまう傾向がある

である。



特に最新の情報を重視し、それで物事を推定する傾向がある。

投資では、最新の損益計算書を見て、将来を示すシグナルとみなすことがあげられる。



ここでも、自信過剰が顔を出す。

自信過剰が、過剰反応を増幅してしまうのだ。



悪い話には、過剰反応。

よい話では、反応が鈍くなる

心理学者は、この現象を「過剰反応のバイアス」と名付けた。


近視眼性

行動ファイナンスの研究者 リチャード・セイラー。

セイラーは、

短期的に損益のよくないレポートが出た時の投資家は、浅はかな過剰反応する

ことを指摘する。

セイラーは、投資家による短期的な損益を重視しすぎることを「近視眼性」と呼んだ。


過剰反応のバイアスが理解されてすでにかなりの時間がたつ。

しかし、近年のテクノロジーの進化で、事態は悪化している。


ITの進歩、インターネットにより株式市場と常時つながることが可能になったのだ。

ネットやスマホで、24時間、投資家は、いつでも成績を確認できるようになった。

このような環境が、投資家の「近視眼性」をさらに悪化させることになる。


損失回避

人々が損失を避けようとする傾向は、「損失回避」と呼ばれる。

損失回避は、バフェット流の投資手法を妨げる、最も大きな障害である。


この心理状況を明らかにしたのは二人の人物。

ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーである。

2人は「プロスペクト理論」という有名な論文を発表。


その重要な発見は、人々のもつ損失を回避しようとする傾向である。


人々は、勝ったときの喜びに比べて、同じ大きさの負けをしたほうが2~2.5倍重く考えていることを数学的に証明した。


言い換えれば、損失の痛みは、勝ったときの喜びよりもはるかに大きいということになる。

投資家に当てはめれば、「勝つときより負けてお金を失うときに、2倍悔しい思いをする」ということだ。


痛みが喜びより大きいため、「損失回避」が見られるようになる。

間違った投資をしても、失敗を認めたがらず「株を売らない」などはそのような例である。


そして、損失回避によって、投資家は必要以上に「保守的」になるのだ。


メンタル・アカウンティング(心の会計)

リチャード・セイラーとシュロモ・ベナーツィによる研究で、「プロスペクト理論の損失回避と株式市場」を直接結び付けた。


二人が悩んだのは、

「投資家が、株式の方が債券よりも運用成績がよいのに、長期投資を考えると、債券を保有しようとするのはなぜか?」

なぜ、そのような合理的でない意思決定をするのか。その理由は2点ある。

  • 損失回避
  • メンタル・アカウンティング(心の会計)




人々が損失を避けようとする傾向は、「損失回避」と呼ばれる。

メンタル・アカウンティングとは、周囲の環境の変化につれて、お金のとらえ方も変わるという習性。

私たちは、お金を異なる「勘定」にしまい込み、それによってそのお金の使い方が変わる


たとえば、

  • 夫婦が、ベビーシッターに払うつもりで用意していた20ドルがない
  • そこで、財布から20ドルを支払いをする
  • 翌日、払うつもりで用意していた20ドルが、ジャケットのポケットから出てきた
  • ポケットから出てきた20ドルは「拾い物」と考え、なぜか無駄に使ってもいいと考えてしまう



メンタル・アカウンティングが示す、投資家がひどい状態の株式を売らない理由。

それは、「実際に売らなければ、誤りが現実のものにならないからだ」ということ。

また、リスクの取り方でも、思いがけないお金だと、より大きなリスクを取る。


メンタル・アカウンティングは、

  • 人の心には、様々な会計がある
  • 心の会計の影響を受けると、合理的な判断をしなくなる

ということである。


株価は、債券価格よりも大きく変動する。

その分、「損失回避」「メンタル・アカウンティング」の影響を受けやすい。


合理的には株式を保有した方がいいのだが、債券を保有したがるのはこのような理由である。


近視眼的損失回避

過去の投資リターンを分析してみる。


投資リターンの大部分は、取引期間7%で生まれる。

残りの93%の期間のリターンはほぼ足し引きゼロ。


つまり、投資家は、ほとんどの期間を損失を見ることが多くなるのだ。

そして、毎日株価を見ること(評価)をやめれば、日々の株価変動を見て不安に感じないで済む。


投資家を苦しめる2つの要素は、『損失回避』と『頻繁な評価』なのである。

この2つを合わせて、セイラーとベナーツィは『近視眼的損失回避』と名付けた。


セイラーとベナーツィは、株式を評価しないで保有すればいいかの理想的な期間を探した。

その答えは『1年』


理想的な期間を、1時間からはじめて10年、100年まで調査した結果である。

評価期間が1年になるまで、投資家の心理的効用はプラスにならなかった。


バフェットは、次のように言っているが、裏付ける形となったことは興味深い。

株式市場は1年に1回開けば十分だ




セイラーとベナーツィは、損失回避を議論するときは、リターンを確認する頻度を考慮すべきだと主張する。


「損失回避は避けられない事実だが、評価の頻度はどういう方針にするかの問題であり、原則として変更可能である」と二人は説明する。


レミング・ファクター

「レミング・ファクター」とは、理屈に合っているかどうかに関係なく、ほかのみんながやっていることに従いたくなるという誘惑のこと。

投資家が陥ってしまう心理的な落とし穴である。


レミングは、ツンドラ地帯に住む小さなリスのような動物。

レミングは奇妙な行動をとることで知られる。


レミングは、数が増えすぎると、仲間を踏みつぶして移動する。

海にたどり着くと、海になだれ込む。

そして、死ぬまで泳ぎ続ける「集団自殺」をする。


動物学者によると、いくつか原因が考えれれるが「不明」。




バフェットは、ファンドマネージャーの置かれている状況を考えることを勧めている。

なぜなら、「レミング・ファクター」の落とし穴に知らず知らずのうちに落ちてしまうからである。

  • 自分で考えるより、「平均」とおなじことをしたほうが安全
  • 当たり前のやり方を守ることが、高く評価される
  • そのような環境で、報酬が得られるシステムであること




バフェットはこう語る。

ほとんどのマネージャーは、賢明な意思決定をしようとしない。個人としての損得が明白だからだ。

普通の人が行わない判断をしてうまくいけば、よくやったと褒められるだけだが、失敗するとクビになるのだから、普通のやり方で失敗する道を選ぶ。

レミングは全体としてよくないイメージを持たれているが、個々のレミングが悪いわけではない。




感情の落とし穴を切り抜ける

投資家が陥る心理的な落とし穴で、最も深刻なのは「近視眼的損失回避」である。


この心理的壁を乗り越えれば、ほとんどの人より優位に立てる。

近視眼的損失回避を乗り越えた人間(つまりバフェット)が、世界最高の投資家になっているのは驚くことではないだろう。


バフェットは言う。

  • 自分の投資判断が正しかったと市場に確認してもらう必要がない
  • 毎日株価を見る必要はない

 

その事例の一つが、1988年のコカ・コーラに対する10億ドルの投資である。

それから10年間にコカ・コーラの株価は10倍に上昇した。


1990年代に私は、数多くの投資セミナーで講師をした際にいつもこう質問した。

「コカ・コーラに投資したことがある人は?」

多くが手を挙げる。

「みなさんの中で、バフェットと同じくらいの投資リターンを得た方は?」

すると、ほとんどは手を下げる。


「それはなぜか?」

バフェットと同じ投資をしているのに、なぜ同じくらい投資リターンを得られないのか?

その答えは「近視眼的損失回避」にあるのだ。


1989年~1998年までの10年間全体で見ると、コカ・コーラは市場を上回っていた。

しかし、1年ごとに見ていくと市場に勝ったのは、そのうち『6年』だけ。

つまり、「近視眼的損失回避」により、多くの投資家は「負けた」年に、株を売ってしまうのだ。


バフェットはどうしただろう。

バフェットは、企業業績をチェックした結果、そのときも企業のすばらしさに変化がないことを確認して、保有を続けたのである。


バフェットの師 グレアムも「投資家は市場の変動に備えておけ」と警告を発している。

資金の話だけではない、心理的にもということである。


グレアムは、こう言う

市場が不合理な下落をしたときに、慌てて行動したり、必要以上に不安になったりする投資家は、本来の利点を不利にしてしまっている。

保有株式の価格は市場に出ないほうがうまくいくだろう。他人の判断ミスの結果で悩まされることがなくなるからだ




3 バフェットはどう乗り越えているか

バフェットが行う投資手法は、『株式と事業を区別しない手法』である。

学生たちが学ぶ『モダン・ポートフェリオ理論』とは大きく異なる。


バフェット流投資手法を行うと、大多数の投資家の行動とは気持ちの上でも、心理学的見地からも大きくかけ離れていることに気づくだろう。



「モダン・ポートフェリオ」理論の重要な3つの要素について、簡単に触れていこう。

  • マーコビッツの共分散
  • ファーマの効率的市場
  • シャープのキャピタル・アセット・プライシング・モデル




マーコビッツの共分散

モダン・ファイナンスを切り開いた先駆者 ハリー・マーコビッツ。


1950年代の最初の論文で、「平均を上回るリスクを取らなければ、平均を上回るリターンが得られないこと」を裏付ける計算式を提示した。

今考えるとあきれるほど明白だが、1950年代当時には革新的な考え方だった。


さらに、7年後に本を出版。

その中では「ポートフィリオ全体のリスク度の判定」に関心を向けた。


株式のポートフィリオをつくったとき、そのグループが向かっている方向を示す指標として「共分散」を使った。

共分散とは,二組の対応するデータの間の関係を表す数値です。


「国語の点数」が高いほど「数学の点数」が高い傾向にあるのか?

あるいは

「国語の点数」と「数学の点数」は関係ないのか?

などが分析できます。

引用先 高校数学の美しい物語 / 共分散の意味と簡単な求め方 より




個々の株式が同じ方向に動く度合いが大きいと、景気変動がそのグループ全体を同じ方向に導くことになる。

仮に、リスクの高い株式ばかりのポートフェリオでも、個々の株式が動く方向が違っていれば、安定したものになると考えた。


ファーマの効率的市場

シカゴ大学のユージン・ファーマの卒業論文にて発表した。

「市場は効率的であり、株価の将来予測は無意味である」


効率的市場では、情報はただちに参加者全員に知られ、価格は即時に調整される。

どの時点でも、株価には利用可能すべての情報を反映している状況を「市場は効率的」とよぶ。


シャープのキャピタル・アセット・プライシング・モデル

ビル・シャープが提唱した。

キャピタル・アセット・プライシング・モデル(略してCAPM)


CAPMでは、株価は全く別の二つのリスクがあるとする。

  • 市場に参加するリスク(システミック・リスク)
  • 企業の財務状況のリスク(アンシステミック・リスク)

また、

  • 市場に参加するリスクは、マーコビッツの共分散ではなくすことはできない
  • 企業の財務状況のリスクは、異なるタイプの株式を加えることでリスクをなくせる

とした。




3人の研究者によって「モダン・ポートフェリオ理論」と呼ばれることになった理論の重要な要素が定義された。

  • マーコビッツは、「リスクとリターンのバランスは分散によって決まる」という考え方を示した
  • ファーマは、「市場は効率的であり、株価の将来予測は無意味である」という効率的市場仮説を提唱した
  • シャープは、CAPMを使って2種類のリスクの定義をした




リスクと分散に関するバフェットの見解

※少し長い部分になりますので、ポイントをあげてみました。

ポイント

  • バフェットにとって、モダン・ポートフェリオ理論は何の役にも立たない
  • 企業をしっかり分析したうえで銘柄選択を行い、投資期間を数年に伸ばすとリスクは大きく減少する
  • バフェットは、企業評価において最初に見るのは「価値」であって、「価格」は後回し。あるいはまったく考えない。




バフェットが考えるリスクは、研究者たちが話題にしているものとは全く異なる。


モダン・ポートフェリオ理論では、リスクは株価の変動率だと定義される。

しかし、バフェットは株価の下落は『チャンス』と捉えている。




バフェットは言う。

事業オーナーにとって、学者によるリスクの定義はほとんどバカげていると言えるくらいにまったくズレている。

そして、私は、一部を所有する株主でも、事業オーナーと同じ気持ちで考えるべきだと思う。




バフェットの定義するリスクは、「事業の本質的価値に関わるもの」であって「株価の動き」ではない。

バフェットの考えるリスクとは、「投資から得られるリターンが、投資開始から少なくとも同じか、さらに適正な利益が本当に得ることができるか」である。


バフェットの言うリスクは、投資家の展望する時間の長さと密接に関わっている。

バフェットとモダン・ポートフェリオ理論のリスクの考え方の最も大きな違いである。


今日株式を買って、明日売るならば、リスクの高い取引だとバフェットも言うだろう。

勝てる確率は、コイン投げの表裏と同じだ。半分の確率で、負けるだろう。


しかし、バフェットは言う。

企業をしっかり分析したうえで銘柄選択を行い、投資期間を数年に伸ばすとリスクは大きく減少する

今日コカ・コーラの株式を買って10年間保有するつもりならば、リスクはほぼゼロである。


リスクに対して独特の考え方をするバフェットは、ポートフェリオの分散戦略でもモダン・ポートフェリオ理論の逆を行く。

モダン・ポートフェリオ理論では、幅広く分散させたポートフェリオによって個々の株式の価格変動を消そうとする。


バフェットのように、短期的な価格変動を気にしない立場であれば、分散は必要ない。

バフェットは言う

分散は、何も知らない場合には防御と言えるだろう。

市場と異なることが何も起こらない状態を確保しようとするのなら、すべてを買うのがいい。

間違っていない。

事業を評価することを知らない人にとっては、まったく健全なやり方だ




モダン・ポートフェリオ理論は、事業評価について知識と理解が限られた投資家を保護することができるだろう。

さらに、バフェットは言う。

モダン・ポートフェリオ理論は、どうすれば平均でいられるかを教えてくれる。

でも、平均でいる方法は小学生でもわかるだろう




効率的市場仮説については、「バフェットのずば抜けた実績」や「バフェット流にならって市場に勝ってきた優れた人々が存在する」ことで疑問符が付く。


バフェットが、効率的市場仮説について最も納得できないのは、投資家が利用可能な情報を分析して他者より優位に立つことについて何も言ってこないことだ。

つまり、効率的市場仮説は、情報を分析して他者より優位に立つ人がなぜ存在しているか説明していないからだ。


バフェットは言う

市場は多くの場合、効率的だという観察は正しいかもしれないが、だから常に効率的であると結論づけるのは間違っている。

この2つは、昼と夜ほどに異なっている。

感覚として、「常に」ですと100%、「多くの場合」だと80~90%くらいでしょうか




バフェットはこんな皮肉でもって警告している

効率的市場仮説を丸呑みにした学生や騙されやすいプロの投資家がいてくれるので、私たちグレアム流の投資家は大きなベネフィット(利益)を得ている

どんな競争においても、無駄なことを教え込まれた人を相手にすれば、非常に有利だ。

利己的な言い方をすれば、効率的市場仮説を永遠に教え続ける講座を大学に寄付すべきであろう




モダン・ポートフェリオ理論を信奉する人々は、まず「価格」を考え、「価値」は後回し。全く考えないときもある。


バフェットが示す道は、ごく簡単な数字だけを使い、ビジネスを長期保有する。


バフェットと共に歩く人々は、市場が常に効率的だと考えない。

バフェットと共に歩く人々が、最初に見るのは「価値」であって、「価格」は後回し。あるいはまったく考えない。

筆者が一番いいたいところはここ。

株を買うときに、「価格」を見ず「価値」だけを考えるのはなかなか難しいですが。




バフェットのやり方を採用すると、

  • モダン・ポートフェリオ理論支持者とぶつかる
  • 大多数の中で自分が少数派になる
  • 大勢と違うことをするので、心理的に難しい




バフェットについて書いてきて20年が過ぎた。


バフェット流に強く反対する人は1人もいない。

一方で、バフェットのやり方を心の底からもっともだと思いながら、気持ちの上でその教えを使おうとしなかった人は多数存在した。

こうして、私はバフェットの成功の秘訣を理解した。


4 心理学が重要である理由

市場を作っているのは、結局人間である。

感情は、理性より強い影響力をもっている。


株価は、不安や欲によって本質的価値からはるか遠くまで変動する。

人々が欲深くなったり不安におびえたりすると、株式をおろかな価格で売ってしまう。

短期的には、このような投資家の感情が、企業のファンダメンタルな要素よりも株価に大きな影響を及ぼす。


投資家の感情が、株価に大きな影響を及ぼすことをはるか前に理解していたのは、バフェットとマンガーのような少数の人々だけだった。

バフェットとマンガーを除けば、ファイナンスと心理学が交差することにプロの投資家が目を向けるようになったのは、つい最近だ。


投資では、感情がとても大きな力を発揮する。

人々の行動に影響を与え、最終的には株価に影響を与えるからだ。


人間の行動を理解することは、2つの点で大事である。

  • ごく一般的に陥ってしまう過ちを犯さずに済むこと
  • 他の人々が犯す過ちを察知して、自分の利益につなげることができること




市場に関わっている無数の人々が判断を誤ると、それらを集合したパワーは市場を破壊するほど大きい。

他人についていきたいという誘惑は非常に強いので、さらにその力は増大する。


合理性を欠く行動の嵐の中で、合理的に行動した少数の者だけが生き残る。


感情に支配されて誤った判断をすることから、自分の身を守る唯一の手段は、『合理性』である。

忍耐強く、長期にわたって合理的でいられれば、とりわけ有効である。


実際に使ってみる

「バフェットの法則 6章」の内容を、実際の投資に使っています。

実践していることは、以下の3つ。

  • 一度買った株は、5年は保有する
  • 株価をなるべくみないこと
  • 株価ではなく、企業の質をチェックすること




 【実践1】一度買った株は、5年は保有する

記事にもありました、コカ・コーラの話。


バフェットと同じように買ったにもかかわらず、同じように儲からなかった人が多数という話。

バフェットは、前章では、「株の保有期間は5年」と見ているとありました。

条件がそろいさえすれば「理想的なのは、保有期間が永遠である」とのこと。


よろしければ、こちらをご覧ください。

保有期間を5年としているバフェットの考えが分かります。

バフェット流ポートフォリオ管理 フォーカス投資(バフェットの法則5章要約)

この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。 内容としては、「第5章 バフェットのポートフォリオ管理」を要約した記事となります。 結論は、「5~10社の ...

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私は、保有期間を永遠もしくは5年を実際にやっていますが、

  • 短期売買よりも勝率が高いこと(実感として)
  • 最低5年は売れないので、株を買う際は慎重に慎重を重ねることになる
  • 市場の気まぐれに左右されにくくなる




5年保有しても、株価が上がりもしないし下がりもしない、パっとしない株もあります。

財務状況が素晴らしくても、いっこうに株価に反映されてこない株もあります。

買った際の株価からみるみる下がり、5年待っても再浮上しない株もありました。


しかし、全体としては、5年か永遠保有は『報われる』という結論です。


感覚として、5年も保有すると、「長期で見れば、株価が企業の持つ本質的価値に近づいていく」は何となく理解できてきます。

これホントかな?って前は思っていました。保有期間伸ばすとホントにそうなるので不思議。




「5年は絶対売れない」自分縛りはかなり有効です。

本当に銘柄選択が慎重になりますし、当然買う際の株価に対しても慎重になるからです。

どんなに優れた企業の株であっても、高すぎる株価で買えば投資は失敗である




企業をしっかり分析したうえで銘柄選択を行い、投資期間を数年に伸ばすとリスクは大きく減少する

要約にもありましたが、この短いバフェットの言葉がすべてです。


【実践2】株価をなるべくみないこと

セイラーとベナーツィは、株式を評価しないで保有すればいいかの理想的な期間を探した。

その答えは「1年」

要約でもありましたが、『1年は株価を見ない』ことははっきり言えばムリです。


10年ほど株式投資をしていますが、毎日のようについつい見てしまいます。


目の前にパソコンがあれば、株価が簡単が見えてしまいます。

そして、株価が見たくなる誘惑に勝てないからです。


そこで、いかに株価を見ないでおくかをやっています。

  • 株価をチェックするときは、一日に2~3回にする(見たくてもグッと我慢)
  • 自分の中には『近視眼的損失回避』があることを認める
  • あえて手軽に株価が見える環境にしない(スマホに証券会社のアプリを入れない)




『株価は見ない方が投資はうまくいく』を常に意識するようにしています。

バフェットはこんな言い方をしています。

郵便が3週間遅れて届くような田舎に住むほうが運用実績を残せる




上記のような意味深なバフェット名言をいくつか紹介させて頂きました。

よろしければ、こちらをご覧ください。

初心者用のバフェット本でおススメは?【答え】1分間バフェット

世界一の投資家として有名な「ウォーレン・バフェット」 バフェット流の投資術を学ぼうと多くの関連書籍が発売されています。 一方で、バフェット流の投資術は、投資初心者には難しいところもあります。 発売され ...

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【実践3】株価ではなく、企業の質をチェックすること

バフェットはどうしただろう。

彼は、企業業績をチェックした結果、そのときも企業のすばらしさに変化がないことを確認して、保有を続けたのである。

要約記事にもありました、この部分その理由となります。


株を売る際に、『株価が高い安い』ではなく必ず『企業の質』が低下していないかを確認するようにしています。


『企業の質』の判定は、実は非常に難しいことが分かります。

その理由は3つあります。

  • 株価が、そのまま企業価値を表していないから
  • どうやって企業の本質的価値をはじき出すか、分からないから
  • 投資家の主観を入れて、企業評価すれば高い確率で間違うから



ですが、株を買う際も売る際も「株価」だけでなく、「企業の質はどうなのか?」を常に意識しています。

多分に間違う可能性があると知りながらでも、「企業の質」を問うことは意味があると考えるからです。


個人的な意見ですが、企業価値の判定では、おおまかにこんなことを考えるようにしています。(といってもバフェットのマネ)

  • 企業の商品やサービスは、まだ顧客から支持されているか?
  • 経営者は有能か?変なことを言ったり、やったりしていないか?
  • 決算書の数字はどうか?



バフェットによる企業の本質的価値の判定。

こちらの記事で紹介させていただきました。

よろしければ、ご覧ください。

【要約】バフェットの法則 第3章 12の原則で事業を買う

この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。 内容は、「第3章 12の原則で事業を買う」を要約した記事となります。 バフェットが長年にわたって、磨き上げ ...

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まとめ

この記事では、『バフェットの法則 第6章バフェットの投資心理学』を要約しました。



本章の大事な点は、以下の通り。

ポイント

心理的なワナに振り回されず、「株価」ではなく「企業価値」を重視せよ



6章 バフェットの投資心理学 要約

1 心理学と経済学がまじわるところ

ミスター・マーケット

ミスター・マーケットは、株式市場における日々の株価そのものである。

投資家は、彼がまともでないとき(低い価格)は、無視すればよい。

まとも(高い価格)の時は、うまく利用することが正しいやり方だ。

事業について的確に判断すると同時に、ミスター・マーケット(株式市場)が引き起こす気まぐれに振り回されないことが求められる。


2 行動ファイナンス

自信過剰

自信過剰こそが多くの投資家が誤った判断をする理由である。


過剰反応のバイアス

悪い話には、過剰反応。

よい話では、反応が鈍くなることを心理学者は明らかにし、「過剰反応のバイアス」と名付けた。


損失回避

人々が損失を避けようとする傾向は、「損失回避」と呼ばれる。


メンタル・アカウンティング(心の会計)

メンタル・アカウンティングとは、周囲の環境の変化につれて、お金のとらえ方も変わるという習性。


近視眼的損失回避

投資家を苦しめる2つの要素は、『損失回避』と『頻繁な評価』なのである。

セイラーとベナーツィは、株式を評価しないで保有すればいいかの理想的な期間を探した。

その答えは『1年』


レミング・ファクター

「レミング・ファクター」とは、理屈に合っているかどうかに関係なく、ほかのみんながやっていることに従いたくなるという誘惑のこと。


感情の落とし穴を切り抜ける

投資家が陥る心理的な落とし穴で、最も深刻なのは「近視眼的損失回避」である。


バフェットと同じ投資をしているのに、なぜ同じくらい投資リターンを得られないのか?

その答えは「近視眼的損失回避」にあるのだ。


多くの投資家が「近視眼的損失回避」に振り回されて、株を売ってしまう。

バフェットは、企業業績をチェックした結果、そのときも企業のすばらしさに変化がないことを確認して、保有を続けたのである。


3 バフェットはどう乗り越えているか

マーコビッツの共分散

共分散とは,二組の対応するデータの間の関係を表す数値です。

「国語の点数」が高いほど「数学の点数」が高い傾向にあるのか?

あるいは

「国語の点数」と「数学の点数」は関係ないのか?

などが分析できます。

引用先 高校数学の美しい物語 / 共分散の意味と簡単な求め方 より




マーコビッツは以下のように考えた。

個々の株式が同じ方向に動く度合いが大きいと、景気変動がそのグループ全体を同じ方向に導くことになる。

仮に、リスクの高い株式ばかりのポートフェリオでも、個々の株式が動く方向が違っていれば、安定したものになると考えた。


ファーマの効率的市場

「市場は効率的であり、株価の将来予測は無意味である」


シャープのキャピタル・アセット・プライシング・モデル

キャピタル・アセット・プライシング・モデル(略してCAPM)

・ 市場に参加するリスクは、マーコビッツの共分散ではなくすことはできない

・ 企業の財務状況のリスクは、異なるタイプの株式を加えることでリスクをなくせる




リスクと分散に関するバフェットの見解

4 心理学が重要である理由

短期的には、このような投資家の感情が、企業のファンダメンタルな要素よりも株価に大きな影響を及ぼす。


投資では、感情がとても大きな力を発揮する。

人々の行動に影響を与え、最終的には株価に影響を与えるからだ。


合理性を欠く行動の嵐の中で、合理的に行動した少数の者だけが生き残る。


実際に使ってみる

  • 一度買った株は、5年は保有する
  • 株価をなるべくみないこと
  • 株価ではなく、企業の質をチェックすること




ご参考までにどうぞ。

-バフェットの法則