余談

映画『世界の中心で、愛をさけぶ』あらすじ

この記事では、映画『世界の中心で愛をさけぶ』の魅力を紹介します。

詳細なあらすじや裏話を交えながら、おススメしたい点にも触れていきます。


十数年前、初恋の人の死。

その死を受け入れないままの主人公 朔太郎(さくたろう)。

故郷への旅を通じて、初恋の人の死を受け入れていくといった内容。

日本中が涙した、美しい「純愛映画」。


こんな方におススメ

  • とにかく泣きたい方
  • 心の底から感動したい方
  • 美しい恋愛物語を求めている方


日本映画史上、屈指の名作。

多くの方に見ていただきたいし、自信を持っておススメします。

【映画】世界の中心で愛を叫ぶ


『世界の中心で愛を叫ぶ』概要

  • 原作は片山恭一による同名の青春恋愛小説
  • 通称「セカチュー」
  • 興行収入85億円、観客動員数620万人を記録。メガヒットとなる
  • 主題歌の「瞳をとじて」も大ヒット
  • 2004年公開の年は、「セカチュー」ブームの社会現象

【映画】世界の中心で愛を叫ぶ


『世界の中心で、愛をさけぶ』 (2004年製作/138分) 配給:東宝

監督行定勲
(日本アカデミー賞 優秀監督賞)
原作片山恭一
脚本行定勲 坂元裕二 伊藤ちひろ
制作本間英行
プロデューサー市川南 春名慶
撮影篠田昇
(日本アカデミー賞 最優秀撮影賞を受賞)
照明中村裕樹
(日本アカデミー賞 最優秀照明賞)
録音伊藤裕規
(日本アカデミー賞 優秀録音賞)
美術山口修
(日本アカデミー賞 優秀美術賞)
編集今井剛
(日本アカデミー賞 優秀編集賞)
音楽めいなCo.
(日本アカデミー賞 優秀音楽賞)
キャスティング田中忠雄
助監督蔵方政俊
製作担当者前田光治


映画版とドラマ版、どちらがおススメ?

「世界の中心で愛を叫ぶ」は、映画版、ドラマ版の2つあります。(舞台もある)

結論から言えば、「映画版がおススメ」。

中だるみもなく、余計なことを描かず、チャチャと話が進んでいくからです。


ただ、ドラマ版もかなり出来がいい。

個人的には、数多く民放で見たドラマの中で、一番好きな作品。


できれば、「映画版」→「ドラマ版」の順序で、両方見ていただきたい作品です。


【ネタバレ】映画版 あらすじ

出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』

※ ネタバレします。ご注意ください。


一本のカセットテープ

結婚が決まった藤村律子は、引っ越しのための荷造りを始める。


その最中、押し入れの中から、長年しまっていた段ボールを発見。

段ボールの中から、古い一本のカセットテープが出てきた。

出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』


すでにCD全盛の時代。

家電量販店で、律子は、なんとかカセットテープ用ウォークマンを手に入れる。


「10月28日・・・どうしてかなぁ、眠れないの・・・」

聞えてきたのは、若い女性の声。

しかし、ボソッボソッと話すその声は、かなり衰弱しているよう。

出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』

雑踏の中で、思わず立ち止まる。

聞き進める律子の頬に、スッと一筋の涙。

そのテープを聞き終えた律子は、そのまま行方不明になる。


故郷 四国高松へ

出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』

「律子、いなくなった」

行方の知れない婚約者 律子を探す松本朔太郎(さくたろう)。

親友 リュウの経営するバーに滑り込む。


「おい、サク。あれ、律子ちゃんじゃねぇ?」

店内に流れるTV映像。

朔太郎の故郷、四国高松の台風の様子をTV中継していた。

その台風中継の映像には、偶然、律子の歩く姿が映り出されていた。

出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』

「律子ちゃん、なんで高松なんかにいるんだ?・・・」

「おい、サク!」


店を飛び出し、駆け出す朔太郎。

その脳裏には、十数年前に死んだ初恋の人 広瀬亜紀との記憶が蘇るー


朔太郎と亜紀

出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』

1986年 高松ー


クラスメイトと共に、亡くなった校長先生の葬式に参加した高校生 朔太郎。


「弔辞を賜ります。2年3組 広瀬亜紀さん」

「はい!」


広瀬亜紀。

容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能とクラスでも人気者だ。


出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』

「先生にお別れを言わなければならないことがとてもつらいです。」

クラス代表として、弔辞を堂々と読み上げる亜紀。

しかし、突然の激しい通り雨で中断となる。


出典 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』

「なんていうか。広瀬って、すごいよなぁ」

朔太郎の親友 リュウがぼそっとつぶやく。


生徒全員で、校長先生をお見送り。

朔太郎は、亜紀のことが少しずつ気になり始める。


出会い

数日後、朔太郎は愛車の原付バイク下校時に、亜紀とバッタリと出会う。

「あなたがバイクで通学しているの、知っているだよ」

「先生にチクるのかよ」


無言のまま、サッとバイクの後部座席に乗り込む亜紀。

「え?」

「ほら、早く出して!」


「しょうがねぇーなー」

言われるまま、亜紀を後ろに乗せ、バイクを走らせる朔太郎。


グッと体を密接させる亜紀。

思わず朔太郎が叫ぶ。

「あんま、ひっつくなよ!」

「胸、当たる?」


いたずらっこのような笑顔を浮かべる亜紀。

困ったような顔のまま、バイクを走らせる朔太郎。

2人は、防波堤へと向かう。


防波堤にて

「サクって呼ぶのやめてもらます?」

「みんな、サクって呼んでるよ。どうして私だけダメなの?」

「広瀬に呼ばれると、からかわれているように感じる」


防波堤での初めての2人の会話は、ぎこちないものだった。

朔太郎が一方的に意識をしたためだ。


朔太郎が言うには、容姿端麗、勉強もスポーツもできる亜紀は、レベルの高い人間。

自分のような普通の人間に対して、親しげに「サク」と呼ぶこと自体馬鹿にしていると。


「ふ~ん」

少し呆れる亜紀。


「私、帰る。」

「バイクで送っていくよ。」

「いいよ、私んち、サクの家と反対方向だから。」

「じゃあ、なんで俺と一緒にバイクに乗ってきたの?」


出典 世界の中心で愛を叫ぶ(プレビュー)YouTube

「そんなの、きまっているじゃない。」

クルっと振り返る亜紀。

「サクと話したかったから」


ウォークマン

サクとアキ。

急速に接近する二人。


いつものように、バイクで相乗りで下校する2人。

そんな中、町の電気屋さんに並ぶ新型ウォークマンが目に入る

「3万2千円かぁ~」

「高いねぇ」


アキが言うには、タダで手に入れる方法があると言う。

「ミッドナイト・ウェーブ?」

「深夜のラジオ番組。そこでハガキが読まれると、プレゼントされるんだって」

「ねぇ、競争しようか」

「え?」

「二人でハガキを出して、どっちが先に読まれるか競争よ」


交換日記

ウォークマンがどうしても欲しいサクは、ウソのハガキを書く。

「ペンネーム 焼きそばパンさん」

自分の出したハガキが読まれ、興奮するサク。

しかし、その内容は、クラスメイトが白血病になったという全くのデタラメ。


次の朝ー

「僕の勝ちだね」

アキに勝ち誇るサクだったが、アキの様子が変だ。

無言。

悲しげなまなざしでじっとサクを見つめるアキ。


アキは怒っているようだが、サクには全く心当たりがない。

次の日、アキはサクに無言のまま、一本のカセットテープを渡す。


「病気の人の気持ちを考えたことがある?サク」

サクがウォークマン欲しさについた心無いウソ。

それが許せないという。


翌日ー

「あの、ごめんなさい。反省してる。」

サクは、次の日すぐにアキに謝罪する。

「今度は、サクの番ね」

「え?」

「言いたいこと、なんでもカセットテープにとって私に送ってよ」

こうして、二人のカセットテープによる交換日記が始まる。


サクの告白

教室。

サクからアキへ初めてのテープ。

それは、アキへの愛の告白。


「改めてですが、僕と付き合ってください。」

「うふふ」

照れるサクは、ついついムキになる。

「笑うなよ」


少し照れたように、はにかみながら、アキの答え。

「・・・いいよ」

出典 世界の中心で愛を叫ぶ(プレビュー)YouTube


出典 映画「世界の中心で、愛をさけぶ 」 - 亜紀は なぜ J.S.バッハ=グノー「アヴェ・マリア 」を弾いたのか


2人だけの夢島

夢島ー

「夏の思い出」にと計画された、離れ小島での一泊旅行。

サクとアキ、2人だけで過ごす特別な時間。



「あのね、サク。キスは、夢を語りながらするものなんだよ」

夕方の廃屋内にて。

よい雰囲気になり、キスのチャンスをうかがうサク。

しかし、もう少しのところで、スルッとアキにかわされてしまう。


ブスッとしたまま、サクは尋ねる。

「じゃあ、夢って何?」

「・・・教えないっ」


アキの発病

※ 注意 このあたりから物語は核心に近づきます。


一夜明け、夢島から帰ってきたサクとアキ。


「サクー」

船から降りたサクが振り返る。

崖の上で大きく手を振るアキ。

白いワンピースがまぶしい。


手を振り返そうとした瞬間、アキが崩れるように倒れこむ。

「アキ!」


気を失ったアキは、そのまま病院に担ぎ込まれた。


りっちゃん

アキの入院。

カセットテープの交換日記が途絶えるかと思われた。


しかし、不思議なことが起こる。

下校時、下駄箱まで下りていくと、サクの元にちゃんとアキからのテープが、ちゃんと届いている。

(誰がテープをもってくるのだろう?)

不思議に思いながら、アキからのテープをさっそく聞くサク。


りっちゃんー

赤いランドセルが似合う、小学低学年の少女。

この少女が、アキからテープを預り、サクの元に届けていた。

母親が、アキと同じ病院に入院しており、アキがとてもかわいがっていた。

アキがりっちゃんに、テープを届けてもらうことをお願いしていたのだ。


白血病

「白血病・・・私の私の病名。」

「・・・白血病。」

出典 世界の中心で愛を叫ぶ(プレビュー)YouTube

体育館 壇上のピアノ。

アキが、ピアノを弾いて聞かせてくれた思い出の場所。

そして、サクがアキの本当の病名を知らされた場所でもある。


「僕のせいだ。僕があんなうそのハガキを書いたから罰が当たったんだ!」

激しく混乱するサク。


「そうじゃない。運命なの。」

「私は大丈夫。絶対に死なないから」


世界の中心

夢島で拾った1台の使い捨てカメラ。

写真を現像してみると、見慣れない景色が写されていた。

どうも、日本ではないようだ。


「ウルル?」

「オーストラリア。ここが世界の中心だって思えるの」

オーストラリアの奥地。エアーズロック。

原住民 アボリジニーが「世界の中心」と呼ぶ聖地。


「いつか行ってみたいな~」

「行こっ」

「え?」

「行こっ」

「・・・うん」

出典 世界の中心で愛を叫ぶ(プレビュー)YouTube


写真

「サク、大変。私、パスポート持ってない」

「・・・僕もだ」


オーストラリアへ行くには、パスポートが必要なことに気づく2人。

町の写真館 重じいは、サクと親しい老店主。

パスポート用の写真を撮ってもらうために、写真館を訪れる2人。


「私・・・忘れられるのが怖い」

店内に飾られた、いくつもの写真を眺めながら、アキがボソッとつぶやく。


写真という形で、元気な姿を永遠に残しておきたい。

病魔に侵され、次第に「生きる」ことに自信を無くしつつあるアキの悲しい願いだった。

出典 あげてけ 映画『世界の中心で愛を叫ぶ』より、森山未來と長澤まさみのツーショット画像


初めてのくちづけ

「こんなん、なっちゃった。」


サクが、アキの病室を訪れると厳しい現実が待っていた。

白血病治療の副作用のため、アキの髪は抜け落ち、坊主頭となっていたからだ。


息をのむサク。

病気が悪化し、すでに無菌室に移されていたアキ。

直接触れることも難しい状況になっていた。

2人の間には、分厚い透明なビニールカーテン。


「・・・結婚しよう」

サクは、ビニールカーテン越しに一枚の紙をアキに見せる。

婚姻届けー

サクからの突然のプロポーズに、たまらず駆け寄るアキ。

しかし、直接触れることはかなわない。

出典 映画『世界の中心で愛をさけぶ』

ビニールカーテン越しで、アキとサクはキスを交わす。


助けてください!

出典 世界の中心で愛を叫ぶ(プレビュー)YouTube

「オーストラリアに連れていく。今夜、迎えに行きます。」


アキの病状は悪化をたどる。

時間の猶予がないと悟ったサクは、強硬手段に出る。

病院を夜中に抜け出し、そのままオーストラリア行きの飛行機に乗るというものだ。


なんとか空港に着いたものの、外は台風の直撃で大荒れ。

出発直前、飛行機は、欠航となってしまう。


「僕たち、どうしてもオーストラリアに行かなきゃいけないんです!」

思わず空港職員に食って掛かるサク。


病身のため、立っていることができず、崩れ落ちるアキ。

「アキ!」

サクが、慌てて駆け寄る。


出典 世界の中心で愛を叫ぶ(映画)のあらすじ・結末をネタバレ!ロケ地も紹介

「行けないの?」

「行けるよ。この次・・・」

「ないんだってば・・・」

「この次なんて、ないんだってば!」

「・・・・」

「まだ、大丈夫だよ」

「まだ私生きているよ・・・」


衰弱した体での無理がたたり、力尽き気を失うアキ。

たまらず、抱き寄せるサク。

「助けてください!」

「助けてください!」

出典 世界の中心で愛を叫ぶ(プレビュー) YouTube

朔太郎の叫び声が、空港のロビー中に響きわたる。

アキとサクのオーストラリア行きの夢は、果たされずに終わる。


アキの死

「10月28日。どうしてかなぁ、眠れないの。」

「明日が来るのが怖くて、眠れないの」

「私・・・もうすぐ死ぬと思う・・・」


空港から戻ったアキは、気力を使い果たしたかのように急速に衰える。

すでに起き上がることも難しくなったアキ。

最後の力を振り絞り、サクへのメッセージをテープに残す。


いつものように、りっちゃんにテープを託す。

しかし、そのテープはサクの元に届くことはなかった。

なぜなら、りっちゃんは、テープをサクの元に届ける最中、交通事故に遭ってしまったからだ。


出典 映画『世界の中心で愛をさけぶ』

最後のテープはサクに届くことはなく、アキは、静かに息を引き取る。


忘れられないんだよ!

「サクちゃんだったのね。」

「亜紀さんの最後のテープ、渡さなきゃいけなかったのに・・・」

朔太郎の元に一本の電話が入る。


婚約者 律子を故郷 高松で探して歩く朔太郎。

しかし、かつての恋人 アキとの思い出を巡るものとなっていた。


「律子・・・」

律子は、重じいの写真館にいると言う。

慌てて向かう朔太郎。


そこには、律子の姿はすでになく、重じいが朔太郎を待っていた。

朔太郎の視線が、アキと撮った写真に向かう。


頭を抱え、崩れるように座り込む朔太郎。

「アキの死からずーと逃げてきた。」

「忘れられないんだよ!」

「俺、どうしたらいいか、分からないんだよ!」


重じいは、一本のカセットテープを朔太郎に差し出す。

律子から預かり、朔太郎に渡すように頼まれたのだ。

そのテープこそ、アキがサクに渡したかった最後のテープー


「残された者ができることは、後片付けだけだよ。朔太郎。」


失踪の真相

空港にて、朔太郎は律子を見つける。

「かわいがってくれたアキさんが最後に愛した人に、テープをどうしても渡したかった」

「ずっと渡せず、ごめんなさい」

泣きじゃくる律子。


サクにテープを届け続けた少女 りっちゃん。

りっちゃんは、朔太郎の婚約者 律子、その人だったのだ。


「アキは、君を恨んじゃいないよ。」

「律子のおかげで、僕とアキは、たくさんのことを分かりあえることができたんだ。」


「後片付けしなきゃー」

アキの願い

「私の遺灰を、ウルルの風に撒いてほしいー」


朔太郎と律子は、オーストラリアのウルルへ向かう。

ー後片付け

アキの最後の願いをかなえるために。


ウルルの山頂に立った朔太郎は、アキの残した最後のテープを聞き始める。


「目を閉じると、目に浮かぶのは、焼きそばパンをほおばる大きな口」

「クシャクシャにして笑う笑顔」

「バイクに乗せてくれた背中のぬくもりが、一番大切だった。」

「忘れないよ」


「あなたと過ごしたたくさんの思い出が、私の人生を輝かせてくれた」

「本当にそばにいてくれて、ありがとう」

「サクは、サクの今を生きてー」


朔太郎は、ウルルの風に亜紀の遺灰を撒いた。


【映画】世界の中心で愛を叫ぶ


主な登場人物

映画版、ドラマ版、それぞれ紹介します。


映画版

出典 ふくの映画ブログ

広瀬亜紀 / 長澤まさみ


出典 ふくの映画ブログ

松本朔太郎(高校生) / 森山未來


出典 ふくの映画ブログ

松本朔太郎(大人) / 大沢たかお


出典 ふくの映画ブログ

藤村律子 / 柴咲コウ


山崎努

ドラマ版

出典 Girls Channel

廣瀬亜紀 / 綾瀬はるか

※ 当初は、石原さとみさんだった。

スケジュールの都合(剃髪を拒んだとも?)により、綾瀬はるかさんに変更されました。


出典 Girls Channel

松本朔太郎(高校生) / 山田孝之


出典 海外ドラマや映画の感想ブログ

松本朔太郎(大人) / 緒方直人


出典 出典 海外ドラマや映画の感想ブログ

矢田部敏美 / 松下由樹


サクとアキの通う高校の先生。

クラス担当で国語教師。陸上部顧問。

明るく気さくな人物で、サクとアキを見守り続けた。


小林明希 / 桜井幸子

朔太郎の大学時代からの友人。

5歳の子を抱えるシングルマザーの保険外交員。

朔太郎とは恋人関係ではないが、独り身同士お互いに助け合っている。


裏話

裏話、制作秘話を10個紹介します。

映画を見る前、見た後でも楽しんでいただければ幸いです。


まずは、メイキングから。



1. 原作は、発売当初は売れなかった

原作は、2001年初版発行時、8000部と当初は話題にならなかった。

新入社員であった小学館の営業マンの目に留まり、売り込み開始。

書店や口コミを中心に、次第に話題となっていく。


2002年 人気女優 柴咲コウが雑誌『ダ・ヴィンチ』に書評を投稿。

泣きながら一気に読みました。

私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました。


この言葉が、書籍の帯に使われ、話題に。

2003年になり、柴咲コウの書評の効果もあり、100万部達成。


2. タイトルの元ネタ

作者 片山恭一は、当初、『恋するソクラテス』を考えていた。

しかし、編集者の助言を受け、『世界の中心で愛をさけぶ』に変更。


この特徴的なタイトル『世界の中心で愛をさけぶ』も、元ネタが存在する。

推測ではあるが、


  • ハーラン・エリスンのSF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』(1969)
  • SFアニメ 『新世紀エヴァンゲリオン』最終話のタイトル「世界の中心でアイを叫んだけもの」


これらを参考にしたといわれています。


3. 校長先生の若いころの写真

出典 twitter

無名時代の女優「堀北真希」さん。


作中では、ほんの一瞬の登場ですので、お見逃しなく。

前半のほう、重じいがサクに、「校長先生が初恋の人だ」と告白するシーンでチラッと。


4. ブランコのシーン

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美しい海が背景に広がるブランコのこのシーン。(港のシーンも)

後ろの方に山が見えます。


源平合戦 屋島の戦いの舞台となった「屋島」です。

出典 wikipedia 「世界の中心で愛を叫ぶ」

ロケ地となった庵治町から眺めることができます。


5. 長澤まさみは役作りのため、自ら頭を坊主頭になることを志願

広瀬亜紀を演じた、長澤まさみさん。

映画『ロボコン』(2003)で初主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

女優 長澤まさみは、世間で少し名前が知られ始めたころでした。


映画『ロボコン』では、初主演ということで演技に悩み、監督の古厩智之に相談。

「猿回しの猿になれ」とアドバイスされ、見事に初主演を成功させました。

映画『ロボコン』を通じて、演技に目覚めたと後に話しており、並々ならぬ熱意で広瀬亜紀を演じました。


白血病となる広瀬亜紀を演じるにあたり、役作りのため自ら髪を剃ることを提案(当時17歳)。

アキを見事に演じた長澤まさみさんは、多数の賞を受賞。

『世界の中心で愛をさけぶ』は、長澤まさみさんにとって出世作となります。


6.「エアーズ・ロック」登山禁止

出典 ETAS online center

今は登山することができなくなりました。


2019年より登山禁止。

理由は、

  • 聖地としている先住民アボリジニへの敬意
  • 安全性を考慮


先住民アボリジニ によって「世界の中心 」「世界のへそ」と呼ばれている地域。

世界で2番目に大きい一枚岩 エアーズロックが有名な公園があります。

ちなみに、ウルルとは、アボリジニの言葉で「偉大な石」の意。


7. ロケ地は『純愛の聖地』

作中、たびたび登場する、重じいの写真館『雨平写真館』。

現在は、『純愛の聖地』として復元。

カフェとして営業中。


純愛の聖地庵治・観光交流館(写真館) – 高松市庵治町


8. 縁結びの南京錠

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このブランコのシーンのロケは、高松市庵治町の皇子神社。

そこには、金網があり、南京錠がつけられています。


この南京錠は、『縁結び』として有名。

恋人たちや若い女性の恋愛の願い事が込められています。


9. 数年後、サクとアキの共演

出典 音楽ナタリー

サクとアキを演じた、森山未來さんと長澤まさみさん。

映画『モテキ』(2011)で、ふたたび共演されています。

『セカチュー』以来、実に8年ぶりの共演ということで、当時話題となりました。



当時、長澤さんは、森山さんについて、

8年前に共演した『セカチュー』で森山さんとはとても相性が良いと思っていました。

すごく素敵な方だし、楽しいし、色々勉強にもなりましたが、一作目も『モテキ』も、“ふたりの人生が変わった作品”という意味で、私たちにとっては特別な意味を持つ作品なので、同志みたいな感じもします

出典 『モテキ』 大根仁監督 インタビュー


また、映画『モテキ』で、「一番好きなシーンは最後」と話しながら、

『セカチュー』では、私は白血病で死んじゃう役で、ふたりが離れ離れになってしまったから、片方がいなくなって寂しい思いをしていたと思います。

それが8年という時を経て、今回違う作品ではあるけれど、ふたりが一緒になれたことは、とても嬉しかったです


10. 映画版の評価

出典 Newsポストセブン

※『世界の中心で、愛をさけぶ』の完成会見


映画『世界の中心で愛をさけぶ』は、大ヒット。

空前の『セカチュー』ブームを巻き起こしました。


特にヒロイン 広瀬亜紀を演じた長澤まさみさんは、最年少で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。

大変な注目を集めました。


一方で、作品そのものについても評価が高い。

行定勲監督以下、スタッフの多くも日本アカデミー賞を獲得。

評論家からも高い評価を得ています。


出典 シネマカフェ

※ 映画『海街diary』共演


広瀬亜紀を演じた長澤まさみさん(映画版)、綾瀬はるかさん(ドラマ版)。

映画『海街diary』(2015)で、二人の共演が実現。


映画版、ドラマ版共に評価が高く、同じ広瀬亜紀を演じた長澤さんと綾瀬さん。

何かと比較されることが多く、ライバル扱いされていました。


しかし、実際は、長澤さんと綾瀬さんは仲が良い。

綾瀬さんは、長澤さんを「まさるちゃん」と呼び、毎年交流を続けています。

ちなみに、長澤さんは、映画で共演した柴咲コウさんも友人です。


【映画】世界の中心で愛を叫ぶ

レビュー

よい点と悪い点となります。


よい点

よい点を3つ挙げます。

  1. 演技が素晴らしい
  2. 音楽がよい
  3. 美しい映像


【よい点1】演技が素晴らしい

映画版、ドラマ版のサクとアキ。

若い2人のペアが、共に素晴らしい演技を見せてくれます。


映画版では、長澤まさみさんと森山未來さん。


ドラマ版では、綾瀬はるかさんと山田孝之さん。

引用 かたちあるもの 柴咲コウ  世界の中心で愛をさけぶ!LiveスペシャルEdition【HD】YouTube


映画、ドラマ共に今でも評価が高い『世界の中心で愛をさけぶ』。

若いながら、この4人の高い演技力の賜物。


4人とも今も第一線でご活躍されていますが、その片鱗が垣間見えますね。


【よい点2】音楽がよい

映画版、ドラマ版ともに主題歌が、とびきり素晴らしい。

本当に甲乙つけがたいのですが、私はドラマ版『かたちあるもの』柴咲コウさんの方が好き。


どちらも、『世界の中心で愛をさけぶ』にピッタリの名曲。

聞き比べてみてください。

本編のダイジェストが流れる映像をご用意しました。泣けますので、注意。

ドラマ版は、『かたちあるもの』 柴咲コウ


映画版『瞳を閉じて』 平井堅


映画版は、劇中で流れるピアノ演奏も素晴らしい。

アキが、サクにピアノ演奏を聞かせるシーンがあります。

J.S.バッハ=グノー作曲「アヴェ・マリア 」という曲で、本当に初心者用のアレンジされた曲です。

アキがサクに白血病だと告げる大事なシーンでもあり、とても印象に残ります。


美しい映像

太陽の光の使い方が素晴らしい。

物語前半のアキが元気なころ、キラキラとまぶしいばかりの太陽がとてもきれい。

いくつかのシーンで、見ることができます。


長澤まさみさん演じる広瀬亜紀は、スポーツが得意そうなとても活発な印象を受けます。

まさに夏の太陽のような、キラキラ光り輝く元気いっぱいの女の子。

そんな子が、あれよあれよという間に、病気になり死んでしまう。


物語後半は、天気の悪いシーンがずっと続きます。

物語の悲哀をより強調させる、前半のキラキラまぶしい太陽、後半のどしゃ降りの台風の対比。

このあたりは、とても見事な演出。


過去(高校時代)の描写は晴天、現代は曇天、クライマックスの空港のシーンは嵐天で描くのは行定の構想による

引用 wikipedia

とのことで、行定監督が狙いがバッチリ当たったということですね。


悪い点

気になる点を3つ。

  1. 暗い
  2. ストーリーがベタ
  3. 長く短い


【悪い点1】暗い

『死』がテーマとなるので、どうしても物語全体が暗く、重い。


見て、ハッピーになることはない。

何度見ても、目を背けたくなる。

物語が進むにつれ、つらくて胸のあたりが苦しくなる。


一部では、「死を賛美している」との批判もあります。


【悪い点2】ストーリーがベタ

  • 恋人が白血病で亡くなる
  • 死んだ恋人が忘れられない
  • 気持ちの整理をつけ、立ち直る


こう並べてみると、確かにひねりのないド直球で、定番中の定番のストーリー。

「ありきたりだ」との一部意見もあり。


ただ、このド直球で、日本中に『セカチュー』ブームを巻き起こしているから、スゴイ。


【悪い点3】長く短い

映画版は、「短すぎる」し、ドラマ版は、「長すぎる」。


たとえば、映画版は、

  • なぜアキがサクが好きになったのか?
  • いつから好きだったのか、なぜあのタイミングで接近したのか?
  • アキの薬を飲むシーン、あれは?

など、映画版は説明不足で、「?」が結構出てきます。


ドラマ版は、とくに現代編が長すぎてダレる。


まとめ : 自信をもっておススメできる、日本映画史上屈指の純愛映画の金字塔

この記事では、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の魅力についてお伝えしました。


日本映画史上、屈指の名作。

サクとアキ、2人の演技が感動を呼びます。


個人的には、映画版、ドラマ版でもそうですが、何度見ても泣ける。

この記事のあらすじを書きながら、何度も泣きました。

「自分で書いて、自分で泣くなんて・・・」

と妻にも呆れられたほど。


ぜひ、ご覧になってみてください。

【映画】世界の中心で愛を叫ぶ

-余談