
「投資で一番大切な20の教え」という本。
サクッと内容を知りたいなぁ・・・
この記事は、「投資で一番大切な20の教え」という本の11章の要約です。
✔ この記事でわかること
・ 逆張りがなぜ難しいのか
・ 投資で使える「懐疑主義」の考え方
・ 逆張り投資をするときは、大事にすること
投資で勝つには、著名投資家の本で学ぶことが一番の早道です。
本書を取り上げた理由は、以下の3点となります。
・ バフェットがこの本を大絶賛。
大量購入してバークシャーの株主総会で配布したから
・ 世間でも「名著」と名高いから
・ 私自身も読んでみて、稀に見る有益な投資本だと考えるから
✔ この記事の信頼性
「投資で一番大切な20の教え」 著者は ハワード・マークス
オークツリー・キャピタル・マネジメントの会長兼共同創業者
オークツリー・キャピタル・マネジメントは、
・ ロサンゼルスを拠点とした投資会社
・ 運用資産は8000億ドル以上
・ 高利債投資や不良債権への投資が得意
ウォートン・スクールにて金融を学び、シカゴ大学にてMBAを取得。
引用 アマゾン 商品紹介ページ 「投資で一番大切な20の教え」より
✔ この記事を書いた人

✔ 株式投資歴10年
✔ 国内外個別株、インデックス投資
✔ 投資関連本は山ほど読んで勉強しています!
本書を「投資のバイブル」として長年読んできました。
しかし、何度も再読する際に、悩みもありました。
・ 再読すると、時間がかかりすぎること
・ ネットの要約記事だと、端折りすぎて少し物足りない
・ 著名投資家の生の言葉や表現を生かした『要約』で復習したい
同じような悩みのある方のお役に立てれば幸いです。
本記事をご覧いただければ、こんなメリットがあります。
・ 難易度の高い「逆張り投資」を行うことができる
・ 「逆張り投資」の気を付けるべき点が分かる
・ 実際に本を読むよりも、短い時間で教えを学ぶことができる
Contents
要約

ハワードの言葉や表現を大切にしながら、丁寧に要約しました。
なぜなら、短く核心をつく言葉のため、記憶に残りやすいからです。
第11章 逆張りをする

周りが意気消沈しているときに買い、
周りが高揚した気分で買おうとしているときに売る
には最大限の勇気が必要だが、そうすることで最大限の利益が得られる。
ジョン・テンプルトン卿
大衆は戦うべき敵
大半の投資家は、「順張り投資家」である。
しかし、優れた投資家はその対極、「逆張り」にある。
すばらしい投資成績をあげるためには、
・ ほかの人とは違う
・ より複雑で洞察力に富んだ思考
が必要だ。
「ほかの人と違う」から、大衆の判断は成功のカギとはならない。
むしろ、トレンドや大衆の見方は戦うべき相手となる。
市場はサイクル内で上下している。
最終的に成功を収めるには、「大衆と逆方向に動くこと」がカギとなる。
他人が慎重さを欠いているときほど、自分たちは慎重に事を運ばなければならない
ウォーレン・バフェット
バフェットは、周りのみんなと反対の動きをすること、「逆張り」を勧めているのである。
逆張りが簡単ではない3つの理由

群衆が過ちを犯すという論理は、明確である。
・ 相場は、強気から弱気へ、過大評価から過小評価へと激しく揺れ動く
・ 相場の変動は、群衆の行動によってさらにあおられる
(買いがさらに買いをよぶ)
・ 相場は、ピーク時に変曲点(強気相場が弱気相場に切り替わる点)になる
・ 相場はいつか上げ止まる。今度は、相場は下げはじめる
・ ほとんどの人によって作られた相場のピークは、本質価値から乖離している。
そのため、ほとんどの人が「間違っている」ことになる
投資を成功させるには、群衆から離れることである。
ほかの人が犯す間違いに気付ける者は、逆張りによって巨額の利益をあげることができる。
サイクルの極限に到達するまで群衆と一緒に動けば、大損する危険性がある。
逆張りは、
・ 「一世一代」「10年に1度」ほどの頻度で起きる
・ まれにしか起きないため、投資家が経験を積むことが難しいこと
・ どんな投資家のアプローチにおいても、逆張りを試みることはとても重要
ただし、逆張りは簡単にできると思ってはいけない。
逆張りが簡単ではない理由は、以下の3点。
1. 価格が、本質的価値から著しく乖離していることを察知する能力が要るから
2. 「市場はつねに効率的で正しい」に逆らえるだけの意思と経験が要るから
3. 自分の正しさを証明されるまで、ピークや谷底をやりすごせる時間的余裕が要るから
逆張りは、「居心地の悪い」もの

逆張りの大まかな概念を受け入れることと、それを実践することは別だ。
市場に影響を及ぼす要因は数多く、変動しやすい。
そのため、逆張りを含めて、全幅の信頼を寄せられる概念やアプローチは存在しない。
逆張りの実践が難しい理由は、以下の5つ。
1. 逆張りはどんなときでも利益をあげられるわけではない
たいていの場合、逆張りするほどの極端な状態は、市場に存在しない
2. 「割高である」ことは、「明日、値が下がる」こととは全く別のことである
3. 相場は、「割高」「割安」でも、数年にわたって維持することがある
さらにその度合いを強める可能性がある
4. トレンドに逆らうと、手痛い打撃を受ける可能性がある
5. 「群衆が間違っている」という結論に、誰もが達するときがある
逆張りそのものが流行となり、群衆の行動と誤解される可能性がある
群衆と正反対の行動をとるだけでは不十分である。
しかるべき根拠と分析に基づくものでなければならない。
投資で成功するには、一般的な見方と相容れないために居心地の悪さを感じるポジションを貫き通す必要がある。
(中略)
強固な意思決定プロセスによって掴んだ自信があってこそ、投資家は投機的な高値で売りぬけ、周りが投売りしているときに掘り出し物を買うことができるのだ。
『勝者のポートフォリオ』 デイビット・スウェンセン 著
究極的に最も儲かる投資行動は、文字どおり「逆張り」することだ。
周りがみな売っている時に買い、周りがみな買っているときに売る。
これは、孤独で居心地の悪さを感じる行動だ。
優れた投資家は、孤独

投資の最もおもしろいところは、矛盾に満ちている点である。
誰の目にも明らかなことが、間違っていると判明するケースが多い。
誰もが素晴らしい成果をもたらすと信じる投資、しかし実際にはそのようなものは存在しない。
なぜなら、誰もが気に入っているのであれば、
・ 過去によい成績をあげたもの。しかし、将来は平均以下の成績になる可能性が高い
・ 価格は、すでに「賞賛」が織り込み済。これ以上価格が上昇する公算は低い
・ すでに開拓されつくされているため、「お買い得」とは言えない
・ 群衆が総意を変化させ、「売り」に動けば価格は下落するリスクが極めて高い
誰もが気に入っているものを買っても大儲けできない。
誰もが過小評価しているものを買わなければならない。
すばらしい投資成果をあげるために重要な要素は二つある。
1. ほかの者が気づいていない、過小評価している資産の値打ちに目を向ける
2. 実際にその値打ちがあることがやがて判明する(市場が評価する)
優れた投資家は、多くの時間を孤独に過ごしていると言われる。
なぜなら、「ほかの者が気づかないもの」に気づくことができるには、
・ 並外れた洞察力に富み
・ 機敏で
・ 常識にとらわれない
『型破り』な投資家であるからだ。
投資における「懐疑主義」とは?

懐疑主義、「ものごとを疑うこと」は、優れた投資家に必要不可欠な資質である。
疑い深い人でなければ、以下のものを見分けることは難しいからだ。
・ 魅力的に見えて、本当に魅力のあるもの
・ 魅力的に見えるけど、実際は魅力のないもの
2008年 リーマン・ショック。
私にとっての収穫の一つは、新たに学ぶことがあった点だ。
逆張り思考に必要な懐疑主義についてである。
・ 懐疑主義と悲観主義は同義語ではない
・ 楽観主義が行き過ぎたとき、懐疑主義は悲観主義をもたらす
・ 悲観主義が行き過ぎたとき、懐疑主義は楽観主義を呼び込む
投資における懐疑主義とは、投資ブームや強気相場の熱狂、ポンジ・スキームを拒絶することを通常は意味する。
つまり、ピークで幅を利かせる楽観主義のときに、「そんなうまい話があるわけない」と疑問視することだ。
一方で、私は、2008年のリーマン・ショック時に新たに学んだ。
相場の谷底で蔓延する悲観主義のときに、「そんなひどい話があるわけがない」と懐疑的になる必要もあることである。
※ 少しわかりずらいので表にしてみます。
相場状況 | ||
楽観(強気相場) | 懐疑主義を悲観的に使う | そんなうまい話があるわけない |
悲観(弱気相場) | 懐疑主義を楽観的に使う | そんなひどい話があるわけない |
危機のさなかでは、悪いことがたくさん起きそうに思える。
だが、「そう思えること」と、それらが「実際に起こること」は別である。
人は、危機時にその区別ができなくなるのだ。
2008年当時、苦境のなかでオークツリーが決断すること極めてむずかしかった。
あのとき、「そんなひどい話があるわけがない」と楽観的に買いに動いたのは、究極の逆張り行動だったのだ。
逆張り投資で必要なこと

私が知る投資の成功例では、はっきりとした共通点がある。
多くの場合、「挑戦的な逆張り」で、「居心地の悪さ」がつきまとうことである。
一つ確信をもって言えるのは、ナイフが床に落ち、混乱がおさまり、不透明感が消えるころには、超お買い得品はまったく残っていないということだ。
買うことが心地よいと思えるようになったころには、価格は超お買い得と言えるほど安くなくなっている。
逆張り投資家として、願わくば用心深さとスキルを携えて落下するナイフを掴みにいくのが我々の仕事だ。
だからこそ、逆張り投資では、本質的価値という概念が非常に重要な意味を持つ。
・ 本質的価値の概念を維持し、
・ 周りがみな売っている時に買うことができれば、
・ (そして、それが正しい判断だったと判明すれば)、
それこそが最も少ないリスクで、最も高い利益をあげる方法なのである。
実践


・ 投資歴10年
・ 本書をバイブルとして愛読
11章 「逆張りをする」で実践していることを紹介します。
逆張り投資をしてみる
結論としては、
「投資資金の一部を逆張り投資に使うこと 」
理由は以下の3点です。
・ 本質的価値の測定が分からないから
・ トレンドに逆らうと痛い目にあうから
・ 投資家として死なないから
・ 本質的価値の測定が分からないから
企業の本質的価値の測定方法はいろいろあります。
ですが、結局のところ、正確な企業価値は分かりません。
企業価値の測定をさらに難しくしているのは、数字や目に見えない「無形資産」の存在。
例えば、iPhoneで有名なアップル社。
・ 無駄のない洗練されたブランドイメージ
・ 「アップル信者」と言われる熱狂的なファン
・ アップル社が抱える優秀な社員という「人財」
これらは、数字や目に見えません。
しかし、明らかにアップルが持つ『資産』です。
さらにいえば、無形資産の存在感が、昔と比べて格段に上がっています。
グーグルをはじめ、GAAFと呼ばれる「ITの巨人たち」がいい例です。
財務諸表を眺めているだけでは、企業の持つ「真の」本質的価値が分かりづらい。
「企業の本質的価値は、ある程度の概算でしか分からない」と考えるのが妥当。
「概算でしか分からない物に、全力投資は避けるべき」という結論になります。
・ トレンドに逆らうと痛い目にあうから
4. トレンドに逆らうと、手痛い打撃を受ける可能性がある
10年投資をやっています。
まさにこの引用のように、私は軽々しい逆張りをして痛い目に会ってきました。
市場や相場とは「投資のプロたちの総意」でもあります。
逆張りとは、
・ 百戦錬磨の「投資のプロ」に、『No』を言う
・ 市場は多くの場合、効率的。ごくまれに非効率が存在する
逆張りをするには、よほどの「覚悟」「自信」が要るという結論になります。
・ 投資家として死なないから
投資で一番避けるべきは、大損をして「退場」「投資家としての死」。
自信のある逆張り銘柄が現れても、全力で投資しないこと。
逆張りは、多くの場合「うまくいかない」ことを十分に考慮しておく。
長い投資家人生、退場さえしなければ儲かるチャンスは何度も訪れます。
結局、以下の短い要約に「逆張りのすべて」が表されています。
群衆と正反対の行動をとるだけでは不十分である。
しかるべき根拠と分析に基づくものでなければならない。
まとめ

いかがでしょう?
まとめてみます。
✔ 投資における逆張りは、非常に有効。だが簡単ではない
✔ 優れた投資家は、大衆と離れているため、孤独である
✔ 懐疑主義は、強気相場でも弱気相場でも必要である
✔ 挑戦的な逆張りは、大衆と異なるために居心地の悪さを伴う
✔ 逆張りを行うには、本質的価値の概念が非常に重要な意味を持つ