バフェットの法則

【投資実例9】H・J・ハインツ

「バフェットの法則 第4章 9つのケースステディで学ぶバフェットの投資法」。

 投資実例9 H・J・ハインツ


9. H・J・ハインツ

H・Jハインツとは

  • 世界でもっとも有名な食品会社。ケチャップやソース、フレンチフライが有名
  • 「私たちにピッタリの会社です」(バフェット談)
  • 2012年 売上高116億ドル。ヨーロッパ、新興国で大きな売上をあげた
  • 2013年 バークシャーと3Gキャピタルは、H・J・ハインツを230億ドルで買収した


3Gキャピタルとは

  • ブラジルの投資ファンド
  • ブラジルの大富豪 ジョルジ・パウロ・レマンが率いる
  • 2015年 バフェットと共にハインツとクラフトの合併を成功させて以来、注目される


長年変わらずケチャップを作る会社なんて、バフェットがいかにも好きそうな会社ですね!

使ったバフェットの法則

2. 安定した事業実績があるかどうか

3. 長期的に明るい見通しがあるか

11. 事業の価値はどれくらいか

12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

4. 経営者は合理的か


2. 安定した事業実績があるかどうか

ポイント

  • 1888年 ヘンリー・j・ハインツが他の人から持ち分を買い取り、トマトケチャップの会社を「H・J・ハインツ」に社名変更
  • 「57種類のバラエティ」という有名なスローガンを掲げていた


3. 長期的に明るい見通しがあるか

ポイント

  • ハインツは、ケチャップで世界1位、ソース類で世界2位
  • 市場のトップを維持しつつ、新興国でも確かな地位を築くことが重要だった
  • 新興国市場は、ハインツにとってとても重要。2012年度売上高のうち21%が新興国からの売上高


11. 事業の価値はどれくらいか

ポイント

  • 2012年 ハインツの事業価値は8億4,700万ドル。合理化に伴う費用も入れると、ほぼ10億ドルである
  • 2段階の成長を加味したモデルで計算すると、高くて1株96.40ドル、低くて82.10ドル(バフェットは1株72.50ドルで買った)
  • 急成長していた新興国市場を加味すると、かなり控えめな数字である


2段階の成長を加味した計算

最初の10年間の成長率その後の利益成長率株価
7%5%96.40ドル
5%5%82.10ドル


バフェットは72.50ドルで買ったから、82.10ドルでも96.40ドルでも安く買ったんですね

12. その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

ポイント

  • 安く買ったがバフェットが求める割安さはなかった
  • 投資のポイントは、「3Gキャピタルとの共同の投資」
  • バフェットは、ハインツ株を優先株という形で投資した


なぜ優先株でバフェットは買ったのか?

2つの理由がある

  • 優先株は大きな割増をつけて利益を得る可能性があること
  • ワラント付きで、ハインツ普通株の5%までタダ同然で手に入ること


ワラントとは

株式を予め定められた価格で、購入することができる権利のこと

さらに、ハインツの成長で、企業の本質的価値が上がる見込みが高い。


4. 経営者は合理的か

ポイント

  • バフェットが買いたくなる企業である(事業内容はシンプル、安定した実績、長期的な明るい見通し)
  • いつもと違うのは2点、「経営者の交代」「借入金が多い」
  • 3Gキャピタルを率いるジョルジ・パウロ・レマンが、優秀な経営者だと分かった


バフェットが、ジョルジ・パウロ・レマンに出会ったのは、1990年代。

3Gキャピタルの経営のやり方とその成功を調査。

その結果、バフェットが『世界最高の経営者』と評したトム・マーフィーによく似ていることが判明。


3Gキャピタルは、投資ファンド。

H・Jハインツの業績を立て直すことで、株価を上げる。

その後、すぐにでも株を売りたがる可能性もあった。


ハインツは3G(キャピタル)が育てていく赤ん坊のような存在だ。

しかし、3Gが売りたいと思うなら、私たちは持ち分を増やすかもしれない

(バフェット談)


買収と一緒に経営者交代は、バフェット事例では珍しいですね

【補足】その後について

バフェットと3Gキャピタル。

その後投資がうまくいったのか、調査してみました。


ポイント

  • 2015年 米食品大手クラフト・フーズとハインツの合併「クラフト・ハインツ」へ
  • 合併後、業績は振るわず、株価は低空飛行
  • 2019年 3Gは、株を一部売却

クラフト・ハインツ急落、大株主3Gキャピタルが持ち株9%超売却


クラフト・ハインツ 2015年からの株価の推移。

出典 SBI証券


まとめ

この記事では、バフェットの投資実例として、H・J・ハインツを見てきました。

  • バフェットにとって分かりやすい事業内容
  • 決して安い株価で買っていない
  • 3Gキャピタルとの共同で投資


いかにも、バフェットが好むビジネスです。

しかし、他人との共同で投資を踏み切っている珍しいパターンです。

その後の株価の推移を見ても、うまくいっていない。

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