読書

【感想】検事の信義 おススメする5つの理由


寝不足になるくらいおもしろい小説なんかない?



心に響く「人の物語」の傑作、「検事の信義」をご紹介します。



「佐方貞人シリーズ」もので本作が第4作目。

前作まで同様、心にグッとくる人の物語を多くの方に楽しんでもらいたいです。


 この記事で分かること

  • 「検事の信義」がおススメな5つの理由
  •  佐方貞人シリーズの簡単な説明



この記事を書いた人

本が好きで、小説もよく読みます。

特に、人の心理描写や心の動きを扱った「人の物語」が好き。

柚月裕子作品のファン。「佐方貞人シリーズ」は全部読みました。


「柚月さんの作品で、「佐方貞人シリーズ」が一番おもしろくておススメ」





●「検事の信義」おススメな5つの理由

以下の5点に良い点をまとめました。


良い点5つにまとめ

・設定、登場人物が分かりやすいこと

・「え!」って驚く!オチが想像できないこと

・丁寧な人間模様を描いている作品であること

・法廷ものでも二転三転の裁判ものではないこと

・短編集だから読みやすいこと


・設定、登場人物が分かりやすいこと

佐方貞人、事務官(相棒役)の増田陽二、佐方の上司の筒井義雄、各話のゲスト。

米崎地検近辺中心で話が進む。



話を読み進めていって、


「え、誰だっけ?この人」

「え?ここどこだっけ?」


と前のページを読み返したりする経験はありませんか?

短編でもあり、人間関係や設定が複雑ではないのでわかりやすい。

本作最大の魅力「人の物語を楽しむ」という点でもその手のわずらわしさがないので、話に集中できる。


逆に言えば、設定や特徴的な人物で大きく振り回さず、淡々と物語進みます。

あくまで「人の物語」で読者を飽きさせない柚月裕子さんの力量は見事ですよね。



・「え!」って驚く!オチが想像できないこと

「罪をまっとうに裁かせる」が佐方のポリシー。

実はこの「まっとう」というところが「佐方シリーズ」に、他の作品にない独特な深みを与えてくれる。


「え?マジ?こうなるの?」


というオチが多いのもこれ。ただ、佐方らしいオチ。

佐方を「ブレない男」と表現しているところもあるが、的を得ている。


・丁寧な人間模様を描いている作品であること

表面的には、「法廷もの」ですが、人間をうまく描いているシリーズ

人の物語は、身近で読者も共感しやすい。



法廷ものにありがちな小難しい「法律用語」も気にならないレベル。

極力、読者にそのような負担を強いることなく「人の物語」に集中してほしいという意図は感じます。


「スカッと爽快!楽しかったなぁ!」

というよりも、


「そうか、そういうことだったんだ・・」


と心の中でじわじわくる感じ。


徹底的に「佐方貞人シリーズ」は人に焦点があたるので、一般的に「人」への関心が高いのが女性の方が多い。

男性より女性の方が好まれる作品だと思います。


・法廷ものでも二転三転の裁判ものではないこと

でも、アッと驚くトリックもないし、奇抜で個性的な特徴的な人もでてきません。

普通の人たちが織りなすドラマ。



法廷ものにありがちな決定的な証拠で裁判が急展開したり、二転三転するという派手な動きで楽しませるものではありません。

腰を落ち着けて登場人物にだけ集中できます。佐方と一緒に作中の「なぜ?」を読者も共有できます。


「法廷もの?小難しいんでしょ?」


と食わず嫌いでしたらもったいないです。

なかなか出会えない心にグッとくる作品。単なるハッピーエンドではないところがみそ。


・短編集だから読みやすいこと

内容の濃い作品を短編に仕上げて、余韻もたっぷり読者に残してくれるあたりは本当にお見事。

今回は4話。短編集ですので、読む区切りが付きやすい。


短編を上手に書くには、作家の高い力量が問われると聞きます。


原作者の柚木裕子さんは、「虎狼の血」「盤上の向日葵」などたくさんの名作を世に送り出している。売れっ子作家さんです。

短編集でここまで読者を楽しませるあたりはさすがだなぁ、人気あるのがよくわかるなぁという感想。



●佐方貞人シリーズについて


●佐方貞人

20~30代男性。己の信念のためなら、上司や組織にもかみつく。

堅物で、会社組織では、器用な立ち振る舞いができず出世できないタイプ。本人もその気なし。


某ドラマの決めセリフ「倍返し!」とか言いません。

しれっと組織に盾突くからたち悪い。無口だけど心の中は熱い信念がある。

読んでるこっちも、


「この人、いつかクビになるよね」

って別の意味でハラハラする。

たばこをたくさん吸う。身なりは気にしないタイプ。


・作品順

「最後の証人」→「検事の本懐」→「検事の死命」→「検事の信義」

時系列は異なるので注意。でも気になりません。読まれる方は最初からスタートがおススメ。全部おもしろいのでハズレなしなので安心していいです。

大学卒業 → 検事(5年でやめた) → 弁護士 というキャリア


読み始めて、

「あれ、この話の佐方は検事?弁護士?どっちだっけ?」

となりますが、基本的な話の流れは同じなのでそこまで神経質にならなくていいです。


●まとめ

おもしろい柚月作品何かないかな?

心がグッとくる「人の物語」である「検事の信義」がおススメ。


理由は5つあります。


・設定、登場人物が分かりやすいこと

・「え!」って驚く!オチが想像できないこと

・丁寧な人間模様を描いている作品であること

・法廷ものでも二転三転の裁判ものではないこと

・短編集だから読みやすいこと

●わが子に伝えたいこと

「佐方のような働き方は、職場にいられなくなるのでやめたほうがいい」




もし、ご興味があれば。最初の「最後の証人」これがまた、泣けるんですよ。


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