バフェットの法則

【投資実例2】GEICO(ガイコ)

「バフェットの法則 第4章 9つのケースステディで学ぶバフェットの投資法」。

 投資実例2 GEICO(ガイコ) 

Government Employees Insurance Company(公務員保険会社)」頭文字を取って「GEICO」


2. GEICO(ガイコ)

GEICOとは

  • 自動車保険の会社。保険契約者を政府職員など、事故が少ない人だけ限定したビジネスモデル
  • 保険代理店を使わず、ビジネス展開。コストを抑えることに成功
  • バフェットの投資の先生 ベンジャミン・グレアムは、一時大株主だった
  • 保険契約者を経営者、中間管理職、技術者と拡大。事故が少ない人なので、さらに利益は拡大
  • 1970年に入り、1時的に衰退。保険契約者を事故の多い人まで引き受けるようにしたため(のちに復活)


使ったバフェットの法則

1. シンプルで理解できる事業か

2. 安定した事業実績があるかどうか

3. 長期的に明るい見通しがあるか

5. 株主に率直に話せる経営者か

4. 経営者は合理的か

7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

9. 利益率の高い企業を探しているか

11. 事業の価値はどれくらいか

10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか


1. シンプルで理解できる事業か

ポイント

  • バフェットは若いころ、GEICOを訪ねて役員からいろいろ話をきいたことがある
  • 若きバフェットは、GEICOの成功を確信して資産の2/3を投じた。顧客にもおススメした
  • バフェットは、保険会社の経営者 ジャック・リングワルトから保険ビジネスの儲かる仕組みを学んだ
  • GEICOへの投資を続け、1980年代には投資価値は、123%上昇した


若きバフェットは、会社役員(しかも後に社長になった!)を捕まえて5時間も話をしたらしい・・・

2. 安定した事業実績があるかどうか

ポイント

  • 一見するとバフェットの嫌うパターン「事業の立て直し」だが、例外ケース
  • 一時的な衰退とみた。ビジネスモデルの優位性や強みは損なわれていないと
  • 1970年代の不振は、ビジネスの優位性が失われたわけでなく、運営や財務の問題だった


バフェットは事業の立て直しはめったにうまくいかないとよく言います

3. 長期的に明るい見通しがあるか

ポイント

  • 自動車保険自体は汎用品、価格競争力が維持できれば汎用品でも利益が上げられる(バフェット談)
  • 汎用品ビジネスでは、優秀な経営者も重要な要素
  • バークシャーが買収後も、GEICOは利益を上げ続けた


汎用品とは、「お客さんから見て、他とは差別化できない商品」のこと。

たとえば、「商品の質が優れている」「圧倒的に他社の商品より、安い」が、他社との差別化の例。


『自動車保険』という商品は、どこの保険会社の自動車保険も、内容・保険料は、似たり寄ったり。

しかし、保険料がすごく安く、その安さを他社がまねできないほどだと、他社と差別化でき利益がでます。


GEICOの強みは、大きく2つ

  • 保険代理店をもたないことで、コストを安くしていること
  • 保険契約者を、事故が少ない人に限定していること(保険料は入るが、事故で保険金を払わないで済む!)


バフェット公式伝記「スノー・ボール」でも、バフェットのGEICOへの入れ込みようはすごいんです!

5. 株主に率直に話せる経営者か

ポイント

  • 1976年に就任したジョン・J・バーンが優秀経営者だったので、落ち込んだ業績を急回復させた
  • バーンは、コストの厳格な管理を徹底して行い、それを株主にもしっかり説明した
  • バーンは、良いニュースも悪いニュースも率直に株主に知らせた


バーンの行った事業再生 コストの大幅な削減

  • 従業員削減と事務所の閉鎖
  • 契約者の絞り込み(コストのかかるケースでは継続しないなど)


4. 経営者は合理的か

ポイント

  • 経営者 ジョン・J・バーンは常に合理的に行動してきた
  • 着実な成長を目指した
  • 1983年以降、GEICOは株主還元に重きを置くようになる


バーンはなぜ着実な成長を目指したのか?

  • 急速に成長することで、財務のコントロールができなくなることをおそれた
  • 損益を注意深く管理しながら、ゆっくり成長したほうが収益が上がるから


1983年以降のGEICO

  • 利益を再投資で十分な利益を上げることが難しくなったので、余剰資金を株主に返すことにした
  • 自社株の買い戻し(株価が上がります→株主が喜ぶ)
  • 配当金の増額


事業が成長するときは、再投資に回す。

事業の成長が遅くなったら、株主にお金を返す。

バーンは、「合理的」な経営者と言えます。


7. 1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

ポイント

  • 1980年 GEICOの自己資本利益率は30.8%。同業他社平均の2倍という高い数字
  • 1980年代後半は、ビジネスの不調ではなく、利益を上回る速さで資本が増加したから
  • 自社株買いや増配は、自己資本を減らして、自己資本利益率を適正化しようとした

自己資本利益率30.8%は、驚異的に高い。

儲かりすぎて積みあがった資本を減らす必要があった。

そのために、自社株買いや増配をしたという面もあった。


日本の企業とは、けた違いの高い数字!

アメリカはすごいですよね!

9. 利益率の高い企業を探しているか

ポイント

  • 保険会社の収益性を図る指標「税引前利益率」は、役に立つ
  • 1983~1992年までの10年間、GEICOは安定した税引前利益率を維持した
  • GEICOは、費用に細心の注意を払っていたので、安定した税引前利益率を実現できた


GEICOが安定した税引前利益率を維持できた理由

  • 保険代理店をもっていないので、費用がかからない(費用は業界平均の半分)
  • 保険引受損失(事故で払う保険金)が少ない。業界でずば抜けていた


11. 事業の価値はどれくらいか

ポイント

  • バークシャー・ハサウェイでGEICOの株を買い始めたころは、GEICOが破産寸前だった
  • 破産寸前だったGEICOには、大きな価値があるとバフェットは言う
  • 利益もなく、企業の価値を算定するのも不可能
  • バフェットの確信のように、GEICOは次第に立ち直った


バフェットによるGEICOの事業価値の算定

  • 1980年 4,700万ドルで投資。GEICOの株全体の1/3にあたる株取得
  • 当時のGEICO時価総額は、2億9,600万ドル(約3億ドルの1/3なので約1億ドル。1億ドルのものを4,700万ドルで買った)
  • 「現在価値理論」で計算すると、GEICOの事業価値は約6億ドル。その1/3なので2億ドルの価値があると計算

市場の評価でも、1億ドルの価値のものを、4,700万ドルのバーゲン価格で買う。

バフェット流の事業価値の算定でも、2億ドルの価値のあるものを、4、700万ドルという安値で買う。


どちらの視点からも、バフェットは安値で買うことに成功している(安全マージン)


簡単な表にしてみるとこんな感じです。

事業価値バフェットが払ったお金
みんなの評価1億ドル4,700万ドル
バフェットの頭の中2億ドル4,700万ドル


10. 1ドル利益を留保したら、企業の市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

ポイント

  • 留保した利益1ドルに対して、GEICOは3.12ドルの市場価値を上げることに成功した
  • 1980~1992年でGEICOの時価総額は、2億9,600万ドル→46億ドルに上昇
  • 複利計算した投資リターンは、年平均29.2%と高い数字。業界平均8.9%と比べても非常に高い


約3億ドルが、46億ドルってすごすぎ!

まとめ

この記事では、バフェットの投資実例として、GEICOを見てきました。


  • バフェットは、保険ビジネスを熟知していた
  • 優れた経営者と優れたビジネスの組み合わせ
  • バフェットが嫌う「事業の立て直し」ケース


事業の立て直しが、うまくいくかいかないかは、一種のギャンブル。

バフェットには、「勝つ」確信があったにせよ、ずいぶん思い切った投資。

破産寸前の企業の株を買うには、相当な勇気が要ります。


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