バフェットの法則

【まとめ】バフェットの法則(バフェットの法則8章要約)

バフェットの投資術の要点は、どんな感じかな?



この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。

内容としては、「第8章 なぜバフェットだけが偉大な投資家になれたのか」を要約した記事となります。




出典 Wikipedia 「ウォーレン・バフェット」 より

この記事で分かること

  • 【要約】なぜバフェットだけが偉大な投資家になれたのか
  • バフェットの法則のまとめ
  • 学んだことを実践する




この記事の信頼性

  • 「バフェットの法則」という本を丁寧に要約
  • 筆者 ロバート・G・ハグストロームさんは、長年のバフェット研究家
  • ロバートさん自身、バフェット投資術を使ったファンドを運用 

筆者の言葉を、大切に丁寧な要約を心がけました。



この記事を書いた人

  • 株式投資歴10年。バフェット本読書歴9年。
  • 大損してバフェット投資術に出会う
  • バフェット投資術の実践中



この記事を読むメリット

  • 【まとめ】バフェットの投資手法をササっと目を通せる
  • バフェットから学ぶ!今日から使える投資のアドバイスが見つかる
  • 【時短】要約記事。本を読むより短時間で重点が分かる


「バフェットの法則」は、バフェット投資術を全体像をとらえ、比較的やさしく解説している本です。

残念ながら、具体的な株の銘柄選定の仕方や、いくらで買うかなどの記載はありません。

しかし、

  • 投資の心構えや知っておきたいこと
  • 自分ひとりで投資する際、軸となる投資の考え方

が満載です。



本記事をご覧いただき、少しでも投資の参考になれば幸いです。



Contents

なぜバフェットだけが偉大な投資家になれたのか?(8章要約)

バフェットはしばしば世界で最も偉大な投資家と呼ばれる。



「偉大さ」に必要な証明は2つ。

  • 優れた実績
  • 優れた実績を維持する期間の長さ

である。


短い間だけ市場に勝つのでは、不十分だ。

そんな人は何人もいる。

優れた実績を長い期間やってきたことが重要なのだ。


バフェットの驚くべき実績

バフェットのリターン市場のリターン
パートナーシップ時代(1965~69年)29.5%(複利ベース)7%(ダウ平均)
バークシャー時代(1965~2012年)19.7%(年率)9.4%(S&P500)

※ バフェットのパートナーシップ時代は1956~1969年。

表は、リターンの数字の説明のため(1965~1969年)




数字を見る限り、優れた実績を長期間維持してきたバフェット。

バフェットを、世界で最も偉大な投資家と呼ぶことに文句のつけようつけようはない。


1 バフェットのプライベートライフ

アイゼンハワーが大統領のころに、(在位1953~1961年)ファンドの運用をスタート。

そして、いまだに投資活動を続けている、バフェットとはどんな人物なのだろう?



10代の若いころ、バフェットは周りの人に「30歳までに億万長者になる」と公言していた。

今では、若いころの目標をはるかに上回る場所にいる。



バフェットは、大富豪らしい生活にこだわらないことで知られる。

チーズバーガーとコーラ、アイスクリームが大好きで贅沢とは無縁である。

バフェットが言うには、

お金が欲しいというよりも、お金を儲けて、それが大きくなるのを見るのが面白い



バフェットは、アメリカ合衆国に対して、一点の曇りなく楽観的だ。

頑張ろうとする人には、誰にでもアメリカ合衆国は大きなチャンスを与えてくれると言う。



長年投資を続けてきたバフェット。

さまざまな出来事の中で、市場、経済、国家が立ち直り、アメリカが前に進んでいく姿を、バフェットは見てきたからだ。

  • 核戦争の瀬戸際までいったこと(キューバ危機)
  • 大統領の暗殺
  • 局地戦争
  • 石油危機
  • ハイパーインフレ
  • テロリストの攻撃

随時起こる景気後退、株式市場の暴落は言うまでもない。



不安定な出来事は市場を混乱させ、多くの投資家を市場から遠ざけた。

バフェットは、その間、どのように運用をしてきたのだろうか?



バフェットは、にっこりと笑って言う。

ほかの人たちが不安を感じるときには大胆に、一方、ほかの人たちが欲張ってきたら、慎重に振る舞った




バフェットは、危ない中を生き延びるだけでなく、危ない中だからこそ、攻撃的に投資する能力を磨いてきたのだ。



2 バフェットの優位性

学者や投資家の間で、長い間議論されてきた「効率的市場仮説」


簡単に言えば、

  • 現在の株価は、すべての情報を反映している
  • 株式を分析しても、時間のムダ



しかし、バフェットのような一部の投資家は、主要インデックスを継続して上回っている投資家がいる。

「効率的市場仮説」には、なんらかの不備があると言わざるを得ない。



マネジメント・コンサルタントたちは、成功したビジネスには3つの優位性があるという。

  • 行動の優位性
  • 分析の優位性
  • 組織の優位性

3つの優位性を、バフェットを題材に見ていこう。


1.行動の優位性

投資で成功するためには、高い知能指数やビジネススクールでの勉強は必要はないとバフェットは言う。

もっとも重要なのは、「合理性」であるとバフェットは考えている。



合理性の要になるのは

  • 目の前の現実を超えて、
  • 将来可能なシナリオを分析し、
  • 熟慮したうえで、選択にたどりつくこと



バフェットをよく知る人々は、合理性という点で、彼は他人と際立って違うという。

そして、バフェットの原動力もまた、「合理性」であると。



バフェットの投資戦略の根本にあるのは、合理的な資本配分。

貯めた資金をどう配分するかは、投資家の最も重要な意思決定である。

選択を行うときに合理的に考えることは、バフェットが最も重視する特質である。



親友ビル・ゲイツと共に、ワシントン大学にて行われた講演会に参加したバフェット。

学生から質問は、「どうやって裕福な今の地位にたどり着いたのか?」


バフェットの答えは、

  • 大事なのは、知能指数ではない。『合理性』
  • 知能指数や他の才能は、エンジンの「馬力」に相当する
  • エンジンを効率的に動かすには、『合理性』次第である
  • 「400馬力のエンジンを積んで、100馬力しか出せない」より、「200馬力を積んで、200馬力フルで働かせる」ほうがいい
  • 賢い人(エンジンが大きい人)が、フル活用できないのは、性格や気質を起因とする『合理性』に問題がある
  • バフェットがやっていることは、みなさん(ワシントン大学生)のほうが上手にできる





2.分析の優位性

多くの投資家は、株価だけを見ている。

株価の変化を見つめ、予想し、期待することに時間と労力を掛けすぎている。

そして、自分の所有する事業を理解する時間が少なすぎる。



企業を所有し、経営している点は、分析するうえでバフェットの大きな強みである。

プロの投資家は、学者が考えたモダン・ポートフィリオ理論などを学ぶ。

その間、バフェットは財務諸表を学び、資本の再投資やキャッシュを生み出す企業の能力について学んだのだ。


バフェットは言う

陸の上を歩くのがどんなことか魚に説明することができるだろうか。

百聞は一見に如かずで、1000年話すより実際に陸の上に1日いる方がよくわかるだろう。

1日でも企業を経営することには、それと同じ価値がある。



投資家と経営者は同じ位置から見るべきだ、とバフェットは信じている。

なぜなら、どちらも本質的に同じものを求めているからだ。

「事業がどれだけのキャッシュを生み出せるか」である。



ファイナンス理論では、長い期間において企業のキャッシュを生み出す能力は企業価値とはっきりした相関関係を持っているとする。

投資家、経営者がともに見るべきは、キャッシュを生み出す関係性が高い「企業価値」である。



株式市場は、うつ病のようなところがある。

将来の明るい見通しにに激しく興奮する一方、とんでもなくふさぎ込むこともある。

投資家は、うつ病のような株式市場のアドバイスは受けたくないし、投資家の行動も支配されてはならない。



市場のほうがあなたより賢いと思うならば、インデックスファンドに投資をしよう。

しかし、きちんと宿題をやってきて、事業を理解することに自信があるのなら、市場に頼るのはやめよう。


バフェットは、多くの投資家に、インデックスファンドを勧めています。



「インデックス投資の生みの親」ジョン・C・ボーグル著 

「インデックス投資は勝者のゲーム」という本。



「インデックス投資が多くのプロの投資家になぜ勝てるのか?」

そのあたりを詳細に述べています。

要約もしてみましたので、ご興味があれば、ごらんください。

【書評と要約】インデックス投資は勝者のゲーム

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バフェットは、価格の変動を逐一追いかけることはしない。

あなたが、長期にわたって優れた企業の株式を保有しようと考えるなら、日々の市場で起きていることは重要ではない。

毎日市場を見ていなくても、あなたの保有する株式たちが立派に局面を乗り越えていくことに驚くだろう。


株式を買ったら、そのあと株式市場が1年や2年閉鎖されても困らないだろう

私たちがうまくやっているかを確認するために、完全子会社のシーズ・キャンディーズの株価を毎日出してもらう必要はない

だったら、なぜコカ・コーラについては毎日株価を知ることが必要なのか




バフェットのメッセージは明確だ。

「バークシャーの投資の是非を市場価格で確認する必要がない」のである。

これは、個人投資家も同じである。


バフェットのレベルに近づくと、市場に関心を向けるときは、こんなことを考えるはずだ。

誰かバカなことをやって、よい企業をすごく安く買えるチャンスを作っていないか?




株式市場についてあれこれ心配して無駄な時間を使うのはやめよう、経済動向についても同じだ。

経済は上向きか?金利は上昇するか?インフレはどうか?など・・・

バフェットも常に経済を見つめているが、経済動向の予測に多くの時間やエネルギーを使うことはない。


投資家はしばしば経済動向についての前提条件を設定し、その大きなデザインに合う株式を選ぼうとする。

バフェットの目には愚かなやり方だと映る。


理由は以下のとおり。

  • 株式市場が予測できないのに、経済動向の予測もできない
  • ある経済環境に合う銘柄を選んでいたら、頻繁に銘柄の入れ替えをする必要がでてくる
  • 頻繁な銘柄の入れ替えは、投機につながる
  • 経済の先行きに合わせて株を購入すれば、次のシナリオに備えて常に株の調整が必要になる




どんな経済環境でも利益を上げるチャンスのある企業を買うのが、バフェットの望みである。

投資家は、どんな経済環境でも利益を上げられる企業を発掘して所有することにこそ、時間を使うべきである。


3.組織の優位性

バフェットの優位性を解き明かすにあたり、彼が作り上げた企業組織に目を向けることは意味がある。


バフェットが最初、バークシャーを7ドルで買ったとき、50年後のバークシャーの姿を思い描いていたか定かではない。


バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイが成功した要因は3つある。

  • 子会社群が、膨大なキャッシュを生み出し、オマハの本日に集中させていること
  • 資本を配分するバフェットが、集まったキャッシュをさらにキャッシュを生み出すチャンスに投資していること
  • 子会社は、それぞれ優れた経営者の手にゆだねられ、バフェットが関与する必要がないこと



ウィリアム・ソーンダイクは著書の中で、バフェットを

「従業員の離職率を減らすことを第一の目標にする、経営者・投資家・哲学者」

と理解するのが分かりやすいという。


優秀な経営者の不必要な離職を回避し、最高の事業を集め、最高の経営者に経営を任せる。


バフェットの経営のモットーは

上手に雇って、管理しない

である。


3 バフェットのように考える

20年以上にわたってバフェットに関する講演をしてきた。


しばしば耳にしたコメントは以下の通りである。

バフェットのように大金持ちだったら、私も株式でたくさん儲けられるよ!



しかし、この考え方は間違っている。

バフェットは大金持ちになる前に、独自の投資手法を磨いてきたことを忘れてはならない。


1つの状況を想定して、1ずつステップを復習してみよう。

想定する状況

  • 明日、投資する企業を1つだけ選ぶことができる
  • 1度決定したら変更できず、それを10年間保有しなければならない
  • 最終的に、この投資があなたの引退後の支えになる




この場合、どのように考えたらよいのだろうか?

ここから先は、「バフェットの12の投資原則」の話になります。

バフェットによる株選びのチェックリストのような話です。



第3章で詳しく解説しており、要約してみました。

詳しくお知りになりたい方は、ご参考までにご覧ください。

【要約】バフェットの法則 第3章 12の原則で事業を買う

この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。 内容は、「第3章 12の原則で事業を買う」を要約した記事となります。 バフェットが長年にわたって、磨き上げ ...

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事業に関する原則

【原則1】シンプルで理解できる事業か

企業の将来を理性的に考えるには、その企業の「お金を生み出す仕組み」を理解しなければならない。


【原則2】安定した事業実績があるか

あなたの引退後を、1つだけの企業に託すとしたら、その企業が長い期間に試練に耐えれたかどうか知りたいだろう。

十分に長い期間、大きな利益を生み出す能力を持っている企業か確認する必要がある。


【原則3長期的に明るい見通しがあるか

長期的に明るい見通しのある企業を、バフェットは「フランチャイズ」と名付けた。


フランチャイズ企業の特徴は、以下のとおりである。

  • 人々に必要とされている
  • 代替するものがない商品・サービスを提供(ライバル企業と価格競争しなくてもよい)
  • 企業の利益が、政府によって規制されていない



フランチャイズの1つの強みは、経営者に能力がなくても生き延びられることにある。

汎用品事業だと、経営者に能力がないと致命的になる。


経営に関する原則

【原則4経営者は合理的か

合理的な経営者は、資本コストより大きなリターンを生み出す事業に再投資する。

そのような事業がない場合、増配や自社株買いで株主に還元するだろう。


合理的でない経営者は、株主に返さず、余剰資金をリターンの低い事業に投資してしまう。


【原則5株主に率直に話せる経営者か

企業のCEOと面と向かって話す機会はないかもしれない。

しかし、CEOが株主とどう向き合っているかを知ることはできる。



確認するべきは以下の3点。

  • 事業の進捗を、株主に報告しているか
  • 失敗したときの話も、成功した話と同様にオープンに話しているか
  • 企業の最終目的が、株主の利益の最大化であることをはっきりと宣言しているか



【原則6】組織の習性に屈しない経営者か

組織の習性とは、

  • みんながやっているから正しいと理屈もなく考える
  • 深く考えずに、他人のマネをする
  • 合理性に欠ける行動

である。


自社のことをどれだけ考えて、群れから距離をおくことができるかで、経営者の能力が分かる。


財務に関する原則

【原則7】1株当たり利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか

投資家は、EPS(1株当たりの利益)の伸びで企業を判定する。

しかし、資本の金額は留保利益で増加するので、この判断はあまり意味はない。


業績を正しく判定するためには、資本金額の変化を織り込んでいる自己資本利益率で考えるべきだ。

自己資本利益率とは

ROE(自己資本利益率)

「その株に投資してどれだけ利益を効率良く得られるか」ということを表しており、株主から見て収益性の指標になります。




【原則8】「オーナー利益」を考えているか

「オーナー利益」とは、純利益に減価償却費を戻し、設備の維持変更に必要な設備投資を引き算して求められる数字。

オーナー利益 = 純利益 + 減価償却費 - 設備の維持変更に必要な設備投資



「オーナー利益」で分かることは、企業がキャッシュを生み出す能力がどのくらいあるかである。



キャッシュを生み出す能力が企業価値を決める。

ただし、それは企業によって異なる。



固定資産が多い企業は、設備の維持更新に多額の金額を投入する必要があるため、より大きな利益が必要となる。

つまり、会計上の利益は、企業の特性によって修正が必要になり、オーナー利益を求める必要があるのだ。



【原則9利益率の高い企業を探しているか

高い利益率は、事業の強さと経営者のコスト意識を示す指標である。

バフェットは、コスト管理を徹底する経営者を信頼し、コストに甘い経営者を嫌う。



バフェットの経験上、以下のように見ている。

  • 高コスト企業は、高コストを続ける(さらに増える)
  • 低コスト企業は、いっそうコスト削減に励む



【原則101ドル利益を留保したら、市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか

これをチェックすることで、以下の2点がわかる

  • 事業の強さ
  • 経営者の資本配分の合理性の判定



計算方法は以下の通りです。

  • 留保利益(純利益ー配当)を10年分足す
  • 「現在の株価」と「10年前の株価」を比較する
  • 「10年間の留保利益合計金額」と「株価の上昇」を比較する
  • 株価の上昇が、10年間の留保利益合計金額より大きい
  • 留保した1ドルに対して、1ドル以上の市場価値を生み出したと判定される




※ わかりづらいので、ざっくりとした数字を入れてみます。

留保利益を1年10円とすると、10年分なので 10円 × 10年 = 100円



現在の株価300円 10年前の株価100円 

株価の上昇は 300円 - 100円 = 200円



10年間の留保利益合計 100円 < 株価の上昇 200円 

株価の上昇(200円)が、10年間の留保利益合計金額(100円)より大きい



留保した1ドルに対して、1ドル以上の市場価値を生み出したと判定 〇



企業が、留保利益を上手に使っていないと市場が次第にその実態に気づき、低い株価をつける。



市場に関する原則

【原則11事業の価値はどれくらいか

企業価値は、事業が生み出すと推定されるキャッシュ総額(オーナー利益)を、適切な割引率で現在価値を割り戻したものである。

式は以下の通りです。

事業の現在価値  = オーナー利益 ÷ 割引率



簡単な数字を入れてみます。

オーナー利益100万円 割引率5%

100万円 ÷ 5% = 2,000万円 企業価値は2,000万円

※ 分かりやすい説明がありましたので、リンクさせていただきました。

バフェットの事業価値推定法



オーナー利益を見ていけば、それが継続的に成長しているか、小さいままでいるのかが理解できる。



企業の成長率を、あまり楽観視しすぎてはいけない。

むしろ、控えめな数字を使うべきであろう。

バフェットは、リスクゼロと考えられる米国債の利率を割引率の数字として使う。(2021.3.24 米国30国債利回りは2.329%)



【原則12その事業を価値よりはるかに安い金額で買収することは可能か

企業価値を判定したら、次は株価を見る。



バフェットのルールでは、株価が(企業)価値に対して十分に安いときにだけ購入する。(株価<企業価値)

企業価値の判定で難しいのは、将来のキャッシュフロー(オーナー利益)を誤って推定することである。



事業価値 = オーナー利益 ÷ 割引率


「将来」のオーナー利益の予測は、すごく難しいという話です。


企業が生み出す利益。

その1年後の予想でもなかなか難しいもの。

それが今から4年後、5年後の利益を、『正確に』予想するとなるとかなり難しい。



バフェットの対処法は、

  • 分かりやすく安定した事業のみを扱う(将来のオーナー利益も予測しやすい)
  • 株価と企業価値の間に、十分な価格差をもって買う(株価が、企業価値よりすごく安いときに買う)




将来のオーナー利益の変化(予測ミス)にも、しっかり対処している。


最高のポートフェリオをつくる

事業のオーナーとなったあなた。

今度は、複数銘柄のポートフォリオへと拡大する段階に入る。



バフェット流の投資の成功は、株価の変動やベンチマークとの比較ではない。

企業価値の増加である。



分散については、バフェットは次のように言う

分散が必要なのは、投資家が自分でなにをやっているか理解できないときだけ

投資家に何の知識はないけれど、株式を持ちたいと思うなら、大量の株式を長い時間かけて間隔をおいて買うべきである

つまり、「インデックス・ファンド」をドル・コスト平均法で買えばいいのだ。

なぜならインデックス・ファンドは、大部分のプロの投資家に勝てるからだ。


しかし、バフェットは続ける。

ビジネスの経済性を理解して、

長期的な優位性を保て、

株価が適正な企業を数社選び出せる

以上のことができる投資家であれば、従来のような分散はまったく意味がない

あなたのポートフェリオの成績を考えてみよう。


株式は、企業の所有権である。

株式を買うことは、事業オーナーになることを意味する。


バフェットの言う事業オーナーの最終目的は、10年後に最高のルックスルー利益を生み出している企業でポートフェリオを作ることだ。

最終目的を、株価変動ではなく、ルックスルー利益の成長になると、多くのことが変化してくる。

補足

ルックスルー利益 = 1株当たり利益× 保有株数

ここでは、ルックスルー利益の説明よりも、文脈上以下の理解だけでOKです

× 株の買値が、株価が上がれば投資成功。株価が下がれば投資失敗(株価しか見ない)

〇 投資先の利益が、利益を再投資して年々増えていれば、株価関係ない



たとえば10室のマンションのうち、2室を持っていたとします。

この場合、マンション全体の賃料収入に対して、自分の利益は20%(10部屋中2部屋分)。

同じように会社全体の利益に、自分の保有株比率をかけたものが、ルックスルー利益です。


わかりやすいたとえがありましたので、引用させていただきました。

中学生での株デビューから資産3億円〜かぶ1000さんインタビュー【後編】 



バフェットの言葉を借りよう。

収益性の優れた子会社を持つ親会社は、どんな価格でも、その素晴らしい子会社を売ろうとはしないだろう。

事業の価値を大きくしたい事業オーナー。

ガンガン稼ぎ続ける部門や子会社を、簡単に売るはずがない。



さて、ポートフェリオを運用するようになったあなた。

次に、ベストの企業を売らないようにするだけではなく、新しい事業を買うことを考えるようになる。



その場合、気を付ける点は、以下の5点。

  • 余剰資金があっても、つまらない企業を買う誘惑に負けない
  • バフェット12の原則に基づく判定に合格しなければ、企業を買ってはいけない
  • 忍耐強く、よい企業が現れるまで待つこと
  • 売買しなければ、進歩しないと考えないこと
  • 正しい判断は多くできない。株の売買など動きすぎないこと



4 あなたの自身の流儀を見つけ出す

投資家にとって、法則性は秩序をもたらし、計画を立て資源を意味あるものにする。


バフェットも、事業の法則性を常に探している。

なぜなら、事業の法則性が、どこかの時点で株価の将来を示すことになるからだ。

時間軸を十分長くとれば、株価は次第に事業の動きに近づいてくる。


短期的な株価の変動を予測を可能にするパターンが、きっとあるはずだと考える投資家が多い。

それは、間違いである。

株価の将来を示すパターンは存在しないし、同じパターンも繰り返されることはない。


経済や市場全体は複雑すぎ、大きすぎて予測は不可能である。

しかし、企業レベルならばパターンを見つけることは可能である。

それぞれの企業には、事業や経営、財務パターンが存在するからだ。


バフェットは、投資家の予測不能な行動(市場や経済)ではなく、企業レベルのパターンの分析に力を入れている。


1つだけたしかなことは、知識があれば投資リターンは上昇し、総合的なリスクは減ることだ。

企業に関する知識が深まれば、考えや行動が投機的な要素に支配されることは少なくなる。


バフェットは失敗を十分にしているし、これからもするだろう。

投資での成功は、絶対に間違えないことではなく、悪いことよりもよいことを多くすることだ。


投資家がしなければいけないことは、

  • 市場や経済動向、株価予測など多くの理解しがたいことを、できるだけ排除し、
  • 事業価値を見極める

ということである。



バフェットが、株を買うとき、注目する変動要因は2つだけ。

「企業の価値」と「価格」である。



企業の価格は、株式市場を見ればわかる。

企業の価値は、価値を判定する際に、多少の計算は必要である。

しかし、やる気があればできる簡単なのものだ。



バフェットのように考えれば、株式市場、経済動向、株価予想に悩まされなくなる。

そうなれば、事業を理解するためにたっぷり時間が使えるようになる。

その時間を決算書やビジネス書を読むことで、事業オーナーとしての知識も向上する。



最高の投資アイディアは、あなたがきちんと努力した結果生まれてくるものだ。

しかし、恐れることはない。

バフェットの流儀は、投資をまじめに考える人にとって理解できないものできないものではないからだ。

経営のプロ(MBA)でなくても事業の評価はできる。



バフェットは、投資人生でさまざまな投資戦略を試みてきた。

その間、経済、政治、軍事面での数えきれないほどの問題に直面し、自分の道を歩んできた。



あらゆる障害の中から、道理の通った自分の場所を見つけてきた。

そこは、個性と投資戦略が同居するところだ。

バフェットの普段の態度をみれば、投資と人生がうまく調和していることがよくわかる。



最後にバフェットの言葉を借りよう。

望むものがすべてここにある。

毎日がとても楽しい。

タップダンスを踊り、大好きな人たちと仕事をする。

バークシャーの経営ほど楽しい仕事は、世界中どこにもないよ。

ここにこうしていられることが本当に幸運だと思う




実際につかってみる

私は、株式投資歴10年、個別株運用をしている投資家。

バフェットの法則 第8章の中で、

私の投資成績が上がったのは、この教えのおかげではないか?

と特に感じているところを3つ挙げてみました。


  • 合理的に考える事を意識する
  • 株価にとらわれないようにする
  • 事業オーナーのようにふるまう




【ポイント1】合理的に考えることを意識する

バフェットの投資戦略の根本にあるのは、合理的な資本配分。

貯めた資金をどう配分するかは、投資家の最も重要な意思決定である。

選択を行うときに合理的に考えることは、バフェットが最も重視する特質である。



合理性が、投資において極めて重要なことが分かります。



日々の投資判断において、私は常にこんなふうに考えるようにしています。

この考えは、合理的だろうか?

(合理主義の達人)バフェットならどんな判断をするだろう?




簡単に他人に同調したい感情、深く考えることを避ける心情。

強欲や恐怖心。

これらは、合理的に考えることの大きな妨げになるからです。



投資における心理的なワナに関しては、「バフェットの法則」第6章が詳しいです。

要約しましたので、ご興味があれば、ごらんください。

バフェットに学ぶ!投資心理学の使い方(バフェットの法則6章要約)

この記事では、ウォーレン・バフェットの投資術を解説した本、『バフェットの法則』を紹介します。 内容としては、「第6章 バフェットの投資心理学」を要約した記事となります。 要約の結論は、「心理的なワナを ...

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ワシントン大学生による、バフェットへの質問。

「どうやって裕福な今の地位にたどり着いたのか?」 への答え。

  • 大事なのは、知能指数ではない。『合理性』
  • 知能指数や他の才能は、エンジンの「馬力」に相当する
  • エンジンを効率的に動かすには、『合理性』次第である
  • 「400馬力のエンジンを積んで、100馬力しか出せない」より、「200馬力を積んで、200馬力フルで働かせる」ほうがいい
  • 賢い人(エンジンが大きい人)が、フル活用できないのは、性格や気質を起因とする『合理性』に問題がある
  • バフェットがやっていることは、みなさん(ワシントン大学生)のほうが上手にできる

投資成績が悪く、落ち込んでいた私に希望を与えてくれた言葉でした。



この言葉を裏を返せば、

「徹底的に合理的に考えるように訓練すれば、投資で勝てる」

となるからです。



結論としては、投資において「合理的」に考えることは大事ということになります。



【ポイント2】株価にとらわれないようにする

バフェットは、価格の変動を逐一追いかけることはしない。

あなたが、長期にわたって優れた企業の株式を保有しようと考えるなら、日々の市場で起きていることは重要ではない。

毎日市場を見ていなくても、あなたの保有する株式たちが立派に局面を乗り越えていくことに驚くだろう。



この本を読んで、だいぶ経ちますが、この部分は、実体験として分かります。


バフェットのように、

  • 事業をしっかり見極める
  • すごく安いときにだけ、株を買う



このように買い集めた株が並ぶことで、ほとんど日々の市場の動きは気になりません。

なぜなら、

  • (自分なりに)優良企業の株を選んだことの自信
  • とても安く買った。ある程度の暴落でも、耐えることができる。

だからです。


実際のところ、株価を「全く」見ないことは難しい。


しかし、「株価」より「価値」を見るように、日々自分に訓練を重ねると、

バフェットのレベルに近づくと、市場に関心を向けるときは、こんなことを考えるはずだ。

「誰かバカなことをやって、よい企業をすごく安く買えるチャンスを作っていないか」

このような心境に、少しずつ本当になってきました。


株式市場についてあれこれ心配して無駄な時間を使うのはやめよう、経済動向についても同じだ。

経済は上向きか?金利は上昇するか?インフレはどうか?など・・・

バフェットも常に経済を見つめているが、経済動向の予測に多くの時間やエネルギーを使うことはない。

この引用に関連して、ずっと昔に聞いた印象深い話を紹介します。


市場予想、経済動向の予想。

もっともらしい難しい言葉や指標を並べて説明している専門家がいます。



ある著名投資家がいいました。

市場や経済予想は、天気予報と変わらない!

たいして当たらない。

明日が晴れようが雨でも、どっちでも私には大して変わらない。



株式投資10年ほどやって、なぜこんな話を印象強く覚えているのか?

なぜなら、この言葉が、

相場予想は、天気予報と同じ。

けっこう真実を衝いている・・・

と実感するときが多かったからです。


バフェットは、投資家の予測不能な行動(市場や経済)ではなく、企業レベルのパターンの分析に力を入れている。

バフェットも同じように考えているのでしょう。

少なくとも、市場や相場分析(予想)より事業分析、業界分析の方が有益だと考えています。


結局のところ、相場予想が不要なのは、こちらの要約からの引用。

どんな経済環境でも利益を上げるチャンスのある企業を買うのが、バフェットの望みである。

投資家は、どんな経済環境でも利益を上げられる企業を発掘して所有することにこそ、時間を使うべきである。

このような企業を選ぶならば、確かに相場が上がろうが下がろうが、今後の景気は上向きか下向きかは関係ありません。

(バフェットはそのような企業は極めて少数しかないと言っていますが)




結論として、投資では、「株価」ではなく、「企業価値」を見ることが大切となります。


【ポイント3】事業オーナーのようにふるまう

投資初期、私はデイトレードやテクニカル分析も行っていた時期があります。

まさに株を「紙切れ」のように見ている典型です。


株を「企業の所有権」と見方を変えるだけで、見えてくる景色が変わってきます。

収益性の優れた子会社を持つ親会社は、どんな価格でも、その素晴らしい子会社を売ろうとはしないだろう。



  • 株は「企業の所有権」
  • 株を買うことは、企業のオーナーになる

って考えるようになると、

よし、長期投資しよう!

と頑張る必要はありません。


なぜなら、

事業の価値を大きくしたい事業オーナーが、収益性の高い部門や子会社を売るはずがない。

からです。


事業オーナーになるということは、自然に長期投資家になるようです。


望むものがすべてここにある。

毎日がとても楽しい。

タップダンスを踊り、大好きな人たちと仕事をする。

バークシャーの経営ほど楽しい仕事は、世界中どこにもないよ。

ここにこうしていられることが本当に幸運だと思う

最後になりますが、バフェットのように投資を楽しめるようになることも大事。


なぜなら、

  • 好きなら、ずっと投資というゲームを続けられるから
  • 多少の挫折も、好きなことなら乗り越えられるから
  • 好きなことなら、学びも吸収も早いから



バフェットのように、心から投資を好きになりたいものですね。


まとめ

いかがでしょうか?

まとめてみます。


なぜバフェットだけが偉大な投資家になれたのか?

優れた実績を、長期間維持してきたバフェット。

「世界で最も偉大な投資家」と呼ぶことに、文句のつけようつけようはない。


1 バフェットのプライベートライフ

バフェットは、大富豪らしい生活にこだわらないことで知られる。

お金が欲しいというよりも、お金を儲けて、それが大きくなるのを見るのが面白い




バフェットは、危ない中を生き延びただけでではない。

危ない中だからこそ、攻撃的に投資する能力を磨いてきたのだ。


2 バフェットの優位性

マネジメント・コンサルタントたちは、成功したビジネスの3つの優位性があるという。

バフェットを題材に見ていこう。


行動の優位性

バフェットの投資戦略の根本にあるのは、合理的な資本配分。

選択を行うときに合理的に考えることは、バフェットが最も重視する特質である。


分析の優位性

バフェットも常に経済を見つめているが、経済動向の予測に多くの時間やエネルギーを使うことはない。

投資家は、どんな経済環境でも利益を上げられる企業を発掘して所有することにこそ、時間を使うべきである。


組織の優位性

優秀な経営者の不必要な離職を回避し、最高の事業を集め、最高の経営者に経営を任せる。


3 バフェットのように考える

想定する状況

  • 明日、投資する企業を1つだけ選ぶことができる
  • 1度決定したら変更できず、それを10年間保有しなければならない
  • 最終的にこの投資が、あなたの引退後の支えになる




事業に関する原則
  • 【原則1】シンプルで、理解できる事業か
  • 【原則2】安定した事業実績があるか
  • 【原則3】長期的に明るい見通しがあるか




経営に関する原則
  • 【原則4】経営者は合理的か
  • 【原則5】株主に率直に話せる経営者か
  • 【原則6】組織の習性に屈しない経営者か



財務に関する原則
  • 【原則7】1株当たりの利益ではなく、自己資本利益率を上げようとしているか
  • 【原則8】「オーナー利益」を考えているか
  • 【原則9】利益率の高い企業を探しているか
  • 【原則10】1ドル利益を留保したら、市場価値も1ドル以上あがるように心がけているか



市場に関する原則
  • 【原則11】事業の価値はどれくらいか
  • 【原則12】その事業を、価値よりはるかに安い金額で、買収することは可能か




最高のポートフェリオをつくる

バフェット流の投資の成功は、企業価値の増加である。


株を買うことは、その企業の事業オーナーになることを意味する。

バフェットの言う事業オーナーの最終目的は、10年後に最高のルックスルー利益を生み出している企業でポートフェリオを作ることだ。


バフェットは言う。

収益性の優れた子会社を持つ親会社は、どんな価格でも、その素晴らしい子会社を売ろうとはしないだろう。

4 あなたの自身の流儀を見つけ出す

最高の投資アイディアは、あなたがきちんと努力した結果生まれてくるものだ。

しかし、恐れることはない。

バフェットの流儀は、投資をまじめに考える人にとって理解できないものできないものではないからだ。

経営のプロ(MBA)でなくても事業の評価はできる。


バフェットの普段の態度をみれば、投資と人生がうまく調和していることがよくわかる。


バフェットは言う。

望むものがすべてここにある。

毎日がとても楽しい。

タップダンスを踊り、大好きな人たちと仕事をする。

バークシャーの経営ほど楽しい仕事は、世界中どこにもないよ。

ここにこうしていられることが本当に幸運だと思う

実際につかってみる

実践している3つの教え

・ 合理的に考えることを意識する

・ 株価にとらわれないようにする

・ 事業オーナーのようにふるまう




ご参考までによろしければどうぞ。

-バフェットの法則